一日目⑦理由

「そ~ですね~じゃあ、詳しく説明しましょうか~」

 そう言って足を組んで話し始め……無いようだ


「というわけで紙配りますね~」

と言い、どこからともなく紙を取り出し、御園生みそのぎに渡した


「「「「え……」」」」

4人とも、思わず心の声が漏れた

「あっ、言い忘れてましたね~」

なんだ良かった


さすがに説明を紙で済ますとか、そんなことないですよね…

「ミソノギさんがこれからは配ったりする係ですからね~

今回のリーダーですから~」


は?意味が分からん

結局紙で済ますことには変わりないし、配る係とかあんの?


 学校かよ……行ってなかったけど…

あと、リーダーってなんだ?説明無さすぎだろ

ツッコみどころが多すぎて追いつかない


『リーダー』と言われた御園生自身も困惑しつつも

もらった紙を回していく


 そこには、日本語でこう書かれていた

【私たちのあらすじ


 その昔、今から200年ほど前の話。


この世界を突然、悪魔が世界を治めたようだ。


『悪魔』と呼ばれていたようだが、その姿は誰も見たこともなく、定かではない。


ともあれ、人々は悪魔に対して様々な不満を持ってたのだが、

圧倒的な支配力と武力によって鎮圧されてしまっていたようだ。

そんな中、人々は、悪魔の支配力と武力の両方から解放するため

50年ほど前に、『勇者』と呼ばれる人を選び、一人の男が選ばれた。


その男の名はクラキと言い、圧倒的な戦力、ほかの人には無い

知識を誇り、人々に知識を分け、また、悪魔に抵抗した。】


 ここまで読んだが、まだ展開が読めない

それに日本語というのにも違和感がある


これをエアリーが書いたのか?

それと、『悪魔』ってなんだ?

話は続いている


 【ところが、勇者は何故か突然、悪魔と交渉し、契約。


内容は、互いに人と土地を二分割し、それぞれ統治するといった。


人々からすれば、裏切り行為に等しいものだった。


それでも、半分の人は悪魔からの支配から解放されるので、期待はあった。


確かに、初めの方は勇者の知識を使い、人々は悪魔の統治から解放された。


しかし、解放されたのも束の間、勇者側に統治された人々も、

結局は重い税金や身分格差は無くならず、

いつしか勇者は人々から、『魔王』と呼ばれるようになった。


そんな魔王には、勇者と呼ばれた頃、4人の婚約者がおり、

それぞれ3人ずつ産まれていた。


『魔王』と呼ばれるようになった途端、待遇が一変し、

それでも、婚約者とその子供は、このまま従うものと

そうでないものとで真っ二つに対立しした。


元々、それぞれ不仲だったようで、

二人の婚約者とその子供は魔王の領地から抜け出し、

私たちは、悪魔と魔王の分割する土地の間にある森で暮らすこととなった。


二人の婚約者も、それまでは同じ場所で暮らしていたが

元々不仲だったのか、喧嘩別れしたらしく、


すぐに自分の子供を引き連れてどこかへ行ってしまった。

私たちの母も、今から10年くらい前に突然行方不明になり、今も探している。】


 ここで文章が終わっていた

…で?

ここから先は何も書かれていない

中途半端に終わっていて、とても後味が悪い


横を見ると、安立や布市も読み終わったようだが、首をひねっており、

納得していない様子


と、御園生が手を挙げて「質問です」といった


「なんですか~」


やる気のない声が、まるでこの文章を理解できない自分を

馬鹿にするように聞こえて、とてもムカつく


「初めて僕たちと出会ったときに、『魔王を倒してください』と言っていた

はずだったのに、…えーっと…

なぜかこの文章を読んでみると『母親を探してほしい』と

言われているようでどうも矛盾しているような…」


さすがに対人スキルMAX(多分)の御園生でも、

いや、そんな人だからこそ

ズバッと言えないのか、結局語尾を濁すかたちとなった


要は『結局何言いたいのか分からん』ということが言いたいのだろう

それは自分も同意見だ


何か裏があるのではないだろうか…



 そう思った自分が馬鹿だった

エアリーはこう言った


「え~っとですね~

これ書いたのが2年ほど前でして~

母親は前の人たちが解決してくれまして~

『今は魔王を倒そう!お~!』って感じのところなんですよ~」


さらに疑問が増えた

御園生ら3人も、頭に『?』しか浮かんでいないようだ


あと、毎回思うのだが…語尾が本当にウザい

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