将軍は常に勝利を望んでいる
「――報告します!」
帰還した若い将校の面立ちには悲痛なものが宿っていた。
「どうした?」
「機動部隊は
よくもやってくれたな。
俺は舌を舐めずり回し、苦渋の決断に至る。
「当拠点を放棄する。女子供から先に避難させよ」
俺たちは、暗く細い洞窟のような路を進みゆく。
奴らの凶暴性と言えば、もはや狂気としか言いようがなかった。今流行のサイコパスなんて可愛いもんだ。俺たちはあれほど残忍な連中を他に知らない。
奴らは巨体で、執念深く、虐殺を好む。女子供にも容赦はせず、その殺し方といえば、徹底的。
この戦争は、もはや我々の敗北しかない。
「――ぐわっ!?」
前方からの空爆だった。
これにより仲間が数十は死滅した。
「急げ、なんとしてでもこの難局を乗り越えろ! 俺たちにはまだ同胞がいる! 諦めるな!」
先ほどの若い将校は、
命からがら逃げ切って、気づけば俺は他国の基地にたどり着いたらしかった。
「……あなたに残念なお知らせがあるわ」
その女性はとても美しく、俺は一発で恋に落ちた。こんな状況で不謹慎かとは思ったが、生物というものは極限の状態で生殖活動を優先するのだ。
「ここのコロニーもすでにやられてしまったの。おそらく本日の夜には、掃討作戦が断行されることわ」
希望なぞどこにもなかった。
「そうか……」
「でもあなたが生きていてくれたからかすかな希望は残っている。まだ種は保たれるの」
「ああ、そうだな二人で逃げよう」
俺はヘトヘトであったが、ここまで生き抜いて見出された一条の光に
そして、俺たちが去ったその夜。
奴ら、怪物たちの
「死ねやぁぁぁぁ!!! ゴキブリィィィィ!!!」
待っていろ、人間共。
いつか俺たちの子孫が復讐にやってくる。
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