第11話 終焉
体がだるい。変な時間に無理やりな睡眠をしたせいだろうか。目が覚めても、すぐに状況を理解するのは難しい事だった。
「そうだ…唯は?」
こうなった犯人であるだろうと推測される唯と話したいが、体が起き上がらない。なにか、手首と足首に圧迫感があった。縛られて…るのか?そもそも、この部屋に唯がいない。どうにか体を動かそうとするが、その場でバタバタするだけで何も出来なかった。
「あ…起きたんだね、司。」
音もなく部屋に入ってきた唯が、いつの間にかすぐそばにいた。
「これ…どうしたんだ?どこにも行かないから、ほどいてくれないか。」
「それはだめ。」
一蹴。
「だって、司を自由にしたらまたあの女のようにに司を取られちゃう。」
「あの女って…林道か?」
「なにか、あったんでしょ?あの、女と。」
「…」
なにもいえない。無理やり、されたなんて言えるわけなかった。
「また誰かになんかされる前に、司を私の管理下に置かないと。…私だけを見て、私だけを感じてれば…いいの。」
薬の副作用なのか倦怠感が大きくなにも考えられない。
「…でも、司にも一応、責任あるよね?」
「な…なにをいって…んグっ!?」
「この、首の痕。誰かに付けられたんでしょ?すっごく…気分が悪い。司を、汚されたようで…。」
起きたばかりなのに、意識が飛んでしまいそうなほど強く首を絞められたが、危ないところでパッと手が離れた。
「げほっ、げほっ…」
「…ふふ、くっきりと、新しい痕ついちゃった…♡あんな女のマーキングなんか、上書きされちゃうくらいくっきりと…」
「…」
なんて言えば、何をいえばいいのか分からない。何が正解なのかわからなかった。
「司の記憶から、あの女を消しちゃうくらい強い『 私』を司に刻み込んであげる…この世界から消えるだけじゃなくて、司の記憶からも消えてもらわないと意味ないもんね…」
「…?」
今、なんて?
「ああ、あの女なんだけどね、ちょっと…この世からいなくなってもらったんだ。」
…最悪の事態が起きてしまった。唯の行動も、来るところまで来てしまった。もう、止めることは出来ない。
「司は、あの女…いや、私以外のこの世界全てに…少し、汚されちゃったけど、時間をかけて私が、ゆっくり綺麗にしてあげるから…ね?」
なにか抵抗の言葉を発したいが、なにも言葉が出てこない。ん…?そもそも、なんで僕抵抗しようとしてるんだっけ?考えるのも、面倒くさくなってきた…
どうして、こうなったのだろうか…
でも、もう…どうでもいいや。
ここは誰にも邪魔されない
『二人だけの世界 』
二人だけの世界 ライリー @846daisuki
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