第6話 部活

あれから数ヶ月たち、平穏に毎日を過ごすことが出来た。女子とは必要最低限の接触しかせず、大半の時間を唯と過ごしていた。

「なあ、部活やんないか?」

なんの前触れもなく涼太からそう言われ、涼太が何を考えているのか分からなかった。

「どうしたんだ?急に。」

「いや、実はさ…廃部になりそうなんだよ。」

「えっ…大丈夫なのか?それ。」

「大丈夫じゃないからこうやって頼んでるんだ。ひとまず、1人か2人増えれば一旦大丈夫っぽいから。な、俺を助けると思って。頼むよ。」

涼太はパソコン研究部に入っているが、部員は涼太を含めて4人程度しかいない。たまにしか行ってないのだから、廃部になったって別に大丈夫そうだが、そういう訳でもないらしい。涼太には結構借りがあるので、入ることにした。



放課後、早速部室にお邪魔する。見たところ、涼太と女子部員一人しかいなかった。

「こちらは、林道さん。1年生の後輩だよ。」

「(ペコッ)」

こちらを向いて、林道という女の子は一礼した。そして、僕も林道さんに自己紹介した。

他の部員も涼太のように、たまにしか来ないらしい。聞けば涼太は、僕が唯と帰るようになってから頻繁に部活に出るようになったらしい。

「お前と帰んの楽しかったけど、今はひとりだし、帰っても暇なんだよな。」

そういって、涼太はこの部活について色々説明してくれた。

「そういや、顧問の先生は?」

「ああ、滅多に来ないから、大丈夫だよ。」

「へえ」

やることといっても、行事が近い時以外は特に仕事もなく、だらだらしゃべったりインターネットみてたり、基本ルーズらしい。

「そういや、佐々木さんは?」

「用事があるとかで先帰った。」

これまた珍しく、唯は用があるらしくそそくさと帰ってしまった。買い物らしいが、そんな急ぐ必要あったか…?

そうして、その日は適当に部活を終えて帰宅した。



夜、唯と電話した。

「部活入ることになった。」

今日の出来事を伝える。

「えっ…」

「なにか?」

「………私もその部活、入る。」

「なんでだ?」

「だって、一緒に帰れなくなるじゃん。」

なるほど。確かに、そうだ。考えてなかった。

「そういうことなら、別にいいよ。涼太にも頼んどく。」





部活に入る。このことが、この一時的な平穏を破壊することになるとは、この時の僕は知る由

もなかった。

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