第5話 対策
唯が嫉妬深いのならば、嫉妬させないように用心しなければいけないが、学校生活を送る上で異性と会話せずに過ごすのは至難…というか、不可能だと思われる。部活はやっていないが委員会には入っているので、女子の委員と話さなければいけない時だってあるし、クラスのほかの女子と話さなければいけない時だってあるだろう。しかし、僕が誰かほかの異性と話しているところを唯に見られたら、またあんなことが起こってしまうのか…
「唯を説得するしかないな…」
どちらにしろ、無理やりあれをやられた時の
唯は品がなく、あまり見たくない。いつも大人しく、クールで通しているのだからあんな姿は誰だって見たくない…と思う。
無理やりされた時は本当にびっくりして病んでしまったけれど、愛ゆえの行動だと割り切って、心の奥にしまっておくことにした。
トラウマになりかけたが、僕のためにしてくれたことだと自分に言い聞かせた。
「司。」
振り返ると、唯がいた。
「一緒に帰ろ。」
帰り道にでも、話してみるか…
「なあ、唯…。」
「なに?」
「ほかの女子と話して欲しくないってのはわかるけど、やっぱそれじゃあ学校で生活できないよ。」
「ふーん、それで?」
「我慢してくれないか?」
「…」
唯は少し悩んで、
「……いいよ。」
「えっ」
びっくりした。そんな、すぐ了承してくれるなんて思ってなかったからだ。
「でも、代わりに。毎日私と、キスして。」
愛が誰かに傾いていないかの確認だとでも言いたげだ。毎日キスするだけで我慢してくれるんなら、おやすい御用だ。
「わかった。」
「それじゃあ、今日の分」
「今日からか…」
「んっ…」
ここには二人しかいない。
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