第3話 豹変

数日後。今日は日曜日。駅前で待ち合わせ。

唯とデートすることになった。ショッピングモールをぶらぶらしたいと、唯からの要望があったので、要望通り2駅電車に乗ったところにあるモールに行くことにした。駅に着くと、唯が先に待っていた。だいぶ早く出たはずだが、先を越されたようだ。

「じゃあ、行こうか。」そういって唯は、僕の手を握り、歩き始めた。

そのあとは、服屋をまわったり、映画を見たりした。こうしてデートしていると、学校ではあまり見せないだけで、実は割と表情が豊かであることを知った。

いい具合にお腹が空く時間となり、昼食を摂ることにした。



適当に、そこらのファミレスにはいると、

「いらっしゃいまー…あれ!?司じゃん!」

幼なじみの水嶋 佳奈(みずしま かな)がバイトしていた。

「佳奈、ここでバイトしてたの?」

「そーだよ。そちらは…彼女さんかな?」

「(コクッ)」

唯は軽く頷いただけで、返事はしなかった。

佳奈は、小学校からの幼なじみだが、高校は別々になりあまり会わなくなった。それでも、たまに顔を合わせることがあり、心を許せる数少ない友達だ。

席につき、てきとうにメニュー表で気になった料理を注文する。唯は、料理を食べている間、どこか不機嫌そうな顔をしていた。



「行きたいところあるんだけど、いい?」

唯は、聞いたことの無い低い声でそう言った。なにか反論できない圧力を感じ、大人しく従うことにした。すると、僕の手を握り、ずんずんと進んで行った。着いた場所は…

ホテルだった。カップルが使う、俗にいう

『 ラブホテル』というやつだった。

「えっと…僕達、まだこういうのは早いと思うんだけど…」

そういっても、唯はなにも言わず、握る手を強めた。唯は力が強く、それなりに痛かった。


部屋に入るなり、ベッドに押し倒された。

止めさせようとして、彼女の腕を抑えようとすると、お腹に衝撃がきた。数秒してから、自分は殴られたのだと、ようやく理解することが出来た。

「もう抵抗しないでね。」

そういって、唯は僕の体をまさぐり始めた。

その1発で、もう抵抗する気は失せていた。

唯は僕に跨り、欲望のままに腰を振っていた。少なくとも、僕にとっては快楽が伴う行為ではなかった。





その日から、僕は唯が怖くなった。何を言われても、反論できなくなった。

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