第42話
今、美琴姉さんはいったいなんて言ったんだ・・・?
オレの頭の中が美琴姉さんの爆弾発言で混乱していく。
グルグルと意味のない模様が頭の中に渦を巻いている。
美琴姉さんの言葉は聞こえて来たのに、オレの脳が理解することを拒んでいるようだ。
「・・・お休み、優斗。」
オレが混乱しているのを他所に美琴姉さんはそう言ってオレにピタッとくっつく形で眠り始めたようだ。
スースーという規則正しい寝息が聞こえてくる。
対してオレは眠れる気配すらない。
美琴姉さんがすやすやと眠っているのが羨ましいくらいだ。
というか、美琴姉さんはエンディミオンがオレだってことを知っていたというような口ぶりだった。
むしろそうとしか思えないような口ぶりだった。
いつから知っていたのだろうか。
どうして、知っていても黙っていたのだろうか。
どうして、オレがエンディミオンだったと知っていても変わらずゲームの中ではオレと恋人関係を演じていたのだろうか。
オレたちは姉弟なのに。
オレたちが恋人になることは許されない関係なのに。
美琴姉さん・・・オレは・・・。
☆☆☆
「優斗ーーー!!マコトちゃんと可愛い女の子が遊びに来たわよーーー!!!」
「うう・・・っ。」
・・・朝か?
母さんの声がオレの頭の中に響いてきた。
寝起きのため頭がよく回らない。
それに何故か右手がしびれていて動かないんだが・・・。
ボーッとした頭で辺りを見回せば、確かにここはオレの部屋だった。
そうして、ベッドサイドにある目覚まし時計に目を向ける。
そこにはもうすぐで正午を告げようとしている目覚まし時計があった。
「えっ!うそだろっ!?」
寝坊した。
完璧に寝坊した。
マコトたちと待ち合わせをしたのは10時だったのに・・・。
おかしいな・・・。
確かに待ち合わせに遅れないように8時に目覚ましをかけたはずだったのに・・・。
そう思って身体を起こしかけると、身体が何かにぶつかって起きることができなかった。
右半分になにやら重みがかかっているのだ。
オレはそっと重みがかかっている右半身に視線を向ける。
「うわっ!!?」
そ、そうだった。
昨日、美琴姉さんと一緒に寝たんだった・・・。
寝ぼけていてすっかり忘れてしまっていた。
「優斗ー!おっそぉ~い!アキちゃんと二人でずっと待ってたんだからね!遅れるなら連絡しなさいよ!!ってか、寝坊したみたいね。もう!」
階段をトントントンと上がってくる足音とともにマコトの声が聞こえてきた。
どうやらマコトがこの部屋に向かって来ているらしい。
やばい。
このままマコトがこの部屋に入ってきたら美琴姉さんと一緒に寝てたのがマコトにバレてしまう。
と、いうか足音が二人分するし、高城さんも一緒かもしれない。
「美琴姉さん!起きて!マコトたちが来ちゃったよ。」
オレは美琴姉さんを起こそうと肩をゆする。
「う、う~ん。もうちょっとだけぇ。」
だが、美琴姉さんは起きる気配がない。
そう言えば昔から美琴姉さんは寝起きが悪いんだった。
すっかり失念していた。
「美琴姉さん!」
少しだけ大きな声を出してみるが、美琴姉さんはまだ夢の中だ。
「優斗ー?まだ寝てるのー?」
「入るわよ。」
そうこうしているうちにマコトたちが部屋の前までやってきてしまった。
「ちょ・・・ちょっとまって・・・。」
ガチャ。
オレの叫びもむなしく部屋のドアがマコトの手によって開けられた。
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