第5話
キャッティーニャオンラインにログインすると、まず最初に今の状態で得られるスキルがあるかということを確認する。
マコッチと同じ鍛冶のスキルはどうだろうか。
そう思って鍛冶のスキルを修得できる師範の元に向かう。
「レベルが10未満の方はスキルを修得することができません。」
しかしながら、そう断られてしまった。
マコッチはそんなこと一言も言っていなかったけど、もしかして無職の場合はレベルが10ないとスキルが修得できないのだろうか。
他のスキルを修得できる場所にも行ってみたがどこも同じでレベルが10にならないとスキルの修得ができないとのことだった。
無職でこのゲームをプレイすることはどうやらハードモードのようだ。
現在のオレのレベルは1だ。
まだ戦闘もしていないのでレベルが上がっているわけもなく1のままだ。
レベルが10になるにはどれくらい時間がかかるのだろうか。
マコッチから新人用の武器と防具を貰ったが、これで敵と戦っても勝てるのだろうか。
でも、まあ。やってみないことにはわからない。
というか、レベル10にならない限りはスキルを覚えることができないのだから、スキルを修得する前にまずレベル上げが必要になる。
やはり、やるしかない。
モンスターを狩ってレベルを上げる為には二種類の方法がある。
一つはギルドのクエストを受注してモンスターを狩ること。
もう一つは街の外にでて野良のモンスターを狩ることだ。
ここで違うのはギルドを通せばお金が手にはいる。
ただし、ギルドを通さない場合はお金は手には入らずレベルだけがあがるというところだ。
それならば、ギルドを通した方がいいかと思うが、そういう訳でもない。
なぜならばギルドのクエストを受けるためには職業についていることが必須となるからだ。
これは先程ギルドに行って確認したのだから間違いがない。
すなわち無職のオレはギルド経由でのクエストを受注できない。
マコッチとパーティーを組めば別だけれども・・・。
ただ、マコッチ以外に無職の俺とパーティーを組んでくれるような人はきっといないだろう。
やはり一人で野良モンスターを退治しにいくか。
幸いこの街の近辺には弱いモンスターしか出現しないようだし。
まずは、一匹狩って様子を見ようか。
そう思ってオレは街の外へと足を向けた。
☆☆☆
「うむ。さて、モンスターはどこにいるのだろうか。歩いていれば勝手にエンカウントするのだろうか。」
あまり街から離れるのも危険だし、ひとまず街の周囲を歩いてみることにした。
するとすぐにモンスターが見つかった。
どうやらゴブリンのようである。
初めて遭遇するゴブリンだ。
どれだけ強い相手なのかわからないので、まずは物陰に隠れて様子を伺う。
ゴブリンは辺りをいったりきたりしている。どうやらプログラムされた場所のみを移動しているようだ。
肝心の戦闘能力については全く検討がつかない。
ただスピードはそんなに早くないと思われる。
近くに落ちていた小石を拾いゴブリンに投げつける。
ピロンッ。
『小石は一つ1ニャールドになります。Expが1追加されます。』
小石を拾って投げつけた瞬間に頭上で音が鳴った。
そうして、機械的な音声が流れた。
「小石が1ニャールド?小石を拾うとお金になるのか・・・?」
まさかのお金の稼ぎ方が小石を拾うことだとは・・・。それに、Expまで加算されている。
こうやって小石を拾っていればレベルが上がるのだろうか。でも、加算が1ってことはかなりの数の小石を拾わなければならない。
途方もないな。
やはり、ゴブリンを狩ってみるか。
そう思ってゴブリンの方を見るとゴブリンは小石が頭に当たったようで頭を押さえていた。
そうして怒っているのか、頭上から白い煙を はいている。
「ちょっと怖いけど・・・。」
物陰に隠れたままゴブリンが後ろを向いた時に死角からマコッチに貰った剣で攻撃をする。
見事に剣はゴブリンにヒットした。
しかし、ダメージはそれほど与えられなかったようで、ゴブリンがこちらを振り返った。
ゴブリンとオレの視線がばっちりと合った。
「きしゃあああああああああーーーーー!!!!」
その瞬間ゴブリンの右腕が振り上げられた。
やばい、ゴブリンからの攻撃だ。
逃げるには間合いからして間に合いそうにない。
ここは、マコッチから貰った盾で防御するしかないか。
オレはマコッチから貰った盾を構えた。
ゴインッ。
ゴブリンからの攻撃は盾に弾かれた。
オレはゴブリンの隙をついてもう一度剣で切りつける。
しかし、はやりいくらもダメージをあた得られないようで、ゴブリンはまだピンピンしていた。
そしてまたゴブリンからの攻撃が・・・。盾を構えて防御するも盾が音を立てて割れてしまった。
どうやら初心者用の盾は壊れやすいようだ。
攻撃もあまり効いていないようだし、ここは一度逃げた方がよさそうだ。
そうして、石拾いでレベルをある程度あげてからゴブリンに挑んだ方がよさそうだ。
だが、逃げようとするがゴブリンの視線はオレに固定されているため、逃げるだけの隙がない。
仕方ない、攻撃して隙をつくるか・・・。
オレは剣を大きく振り上げた。
ザシュッ。
剣を振り上げた瞬間、ゴブリンの胴体が切断された。
助かった・・・。
が、どういうことだろうか。
オレはまだ剣を振るっていない。
「危なかったわね。レベル1の初心者がゴブリンなんて危険だわ。レベル5を越えるまでは街の外にソロではでない方がいいわよ。レベル1で街の外に出る場合は必ずレベル5以上の人がパーティーの半数にいるパーティーに入った方がいいわよ。」
呆然と倒されたゴブリンを見つめているオレの元に颯爽と一人の白いローブを来た女性が現れた。
どうやらオレはこの人に助けられたようだ。
そして後にこの女性はオレの恋人になるのだが、この時のオレはそのことをまだ知らない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます