第15話「さよなら。姉さん」
「私は…貴方のことも全て姉から聞いています。いえ、そんなところから話すのはやめます」
唯波は真剣に話し始めた。
「私の母…姉さんの母でもあるその人は、昔から無鉄砲で急に行動を始める人でした。そして、3歳だった私とともにパリへと渡りました」
それは聞いたことがある。興蔵さんの話のことだろう。
「そして、姉さんが居ないことに気づくんです。母は、『あの子なら先に行ってるわよ』と言っていましたが、どこにも居なかったんです…。そして、パリでブランド展開を始めた母はいつのまにか新しい男ができ、やがてその人は「父」となりました」
「本当は…母から逃げたかったんです」
俺は勘付いた。こいつ、まさか…
「ただ、おねーちゃんに会いたかったんです…」
俺は唯波に告げた。
「ぶちまけろ。今なら忘れてやる」
唯波は頷いた。
「わたしはっ…!おねーちゃんに一度でも会いたかった!日本に帰って、おねーちゃんに会いたかった!でも、その時には遅かった、、、おねーちゃんが死んでしまっているなんて、、、思ってもいなかったから…っ」
なるほど、唯波は相当なものを抱えていたんだな…
「でも、亡くなる1週間前に、おねーちゃんが連絡してきたんです。『彼を…よろしくね。』って…その時はなんの話かわからなかったけど…唯斗君、君だったんだね」
は?
どういうことだ?
「恋人」は返って来る、「自分」のもとに。 SoLs @lighsor_s433
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