第13話「下校と通り雨」
見渡すともう夕方である。
樹民は生徒会の仕事、謙吾は部活。そして俺は暇。
友達なのかはわからないが、1人自分のことを理解してくれている人が増えた気がした。
そこからは急だった。
雨が降ってきた。傘はない。
涙のような。そんな雨だった。
「急…か…」俺はあの日を思い出す。そして、唯波のことも思い出した。
「あいつ…唯香の『妹』のはずなのに、自分の姉のことを忘れているのだろうか…?」
そんなことを考えていると、雨に打たれ続けていたことを知った。
思い出を過去に流したい、そう思う「雨」。そして、唯香が泣いているように感じる
「雨」。どちらも心に刺さる。
「唯香…」久々に君の名前を思い出した。いや、もう忘れたかった君の名前を思い出してしまった。
「…唯斗…君?」
そこには、君がいた。
「風邪を引くよ?大丈夫?」と言っている。そんな君がいた。
…いや、君じゃなかった。君の『妹』だった。
「…唯波…どうして…」
「傘貸すよ。あと…」
「いい。俺はすぐ帰れるから」
「嘘だよね…それって」
「どういうことだ?」
「あなた…泣いてるもん」
そんなことは無いと思ってた。
そして…
「唯斗君、私の家に来て。今すぐに」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます