第6話「転機 前編」
よく晴れた冬の日。
俺は1人家にいる。
外は雪が降っているようだ。
クラスのLINEに通知が来る。
「課題おわんねぇあまじ助けてぇ」だったり、
「This is ENDLESS homework.」とか送ってる奴もいる。笑う気にもなれない。
何が「ENDLESS homework」だよ。
こっちは一生忘れられない経験してんだよ。
そう思った刹那。
1件のLINEが。名前は、「浜名唯香」
「…は?」俺は困惑した。
恐る恐る返事を見る。内容は…
…1時間後、俺は浜名家にいる
「久しぶりだね。3年振りかな。中に入りなさい。」懐かしい声。唯香の父、浜名興蔵(はまな きょうぞう)
世界トップクラスを誇る会社、浜名グループの社長であり、1代でシェアを築いた男。まさかこんな人の娘と付き合っていたとは…とはならなかった。
昔からうちの両親と唯香の父親は仲が良く、しょっちゅうバーベキューもしていた。ただ、俺は唯香の母親を見たことがない。
うちの母さんに聞いたら
「あの人、いい人なのにねぇ、何処行っちゃったのかしら?行方を知らないのよねぇ」と返された。
なんともよくわからない人だった。
さて、本題に戻る。
俺は唯香の家にいる。
リビングでお茶を出され、なにを話されるか考えていたら、興蔵さんは口を開いた。
「…君は…唯香の妹を知っているかな」
「いえ、全くもって知らないです」
興蔵さんは思い出話のように話してきた。
「あれは…唯香と唯波が生まれてすぐの頃、美花が
突然、家を出て行ったのだよ。唯波を連れて」
言っていなかったが、唯香の母親の名前だけは知っている。浜名美花(はまな みか)世界トップクラスのファッションデザイナー。俺でも知ってるぐらいの有名人だ。
興蔵さんは続ける。
「ファッションを学びにパリに行く!と言い出してから3日ですぐに出て行ったんだよ。あいつ、3歳だった唯香を残して、唯波だけを連れて行ったんだよ。それから…音沙汰は無かったんだ。でも…」
俺は聞いた。
「でも?」
「あいつ、昨日電話をかけてきたんだよ。唯波が日本に戻りたいって。唯波だけを日本に戻すってよ」
…俺は違和感を感じた。
…確か、唯香はこう言ったはずだ
「妹を…」って
まさか…知っていたのか?唯香は自分の妹が帰ってくることを、最初から知っていたのだろうか。
頭が困惑する。
どういうことなんだ?
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