第2話 「日常 崩壊」
3日後、よく晴れた日曜日。
俺は唯香をデートに誘った。
場所は唯香が好きなアイスクリーム屋
唯香は自分で買ったイチゴアイスを美味しく頬張っている。
「ん?どしたの?具合悪いの?」唯香に聞かれた。
「いや、別に。ちょっと考え事してた」
としか返す言葉が無かった。唯香がアイスを頬張る姿が可愛かったからだ。
…やべぇ、天使だわ
そうにしか思えなかった。
アイスクリーム屋を出て数十分後、
「もう夕方だね」唯香が言った。
「…そうだな」返す返事は乏しかった。
「もっと、唯斗と居たかったなぁ…」と言う唯香。
「また明日、学校で会えるだろ。今日はもう帰ろーぜ」
「うん…」
唯香の返事が小さくなる、そして頬を膨らませる。
その頬を俺がツンツンすると「ひゃっ!」と彼女は声を上げた。
「な、なにするの!」唯香は恥ずかしがっているようだ。
「い、いや別に!…その…可愛い…かったから…」
唯香はにやけているようだ。
多分、俺が「可愛い」なんて言ったからだろう。
大通りの交差点
人通りはあまりないようだ。
「じゃあ、私もう渡るから、また明日!」
「おう、また明日な、唯香」
それぞれ帰路に就く…はずだった
唯香が横断歩道を渡ろうとした瞬間、
信号無視のミニバンが唯香に迫って…
そして、唯香は死んだ。
僕の目の前で。
助けてやれなかった、自分を後悔した。
後悔と悲しみに溺れ、ひとりだけ帰路に就いたようだ。
家に帰ってきた方法なんて覚えてない。
その後、自分がなにをしたかなんてわからない。
唯香のことを思い出すと、後悔しか溢れない。
そんな日常になってしまった。
「唯香…なんで…、助けてられなくて…ごめん」
その一言しか呟くことはできなかった。
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