第1話 「日常 4年前」

「行ってきます…」

そうして俺は家を出る。

足どりが重い。息がすぐ切れる。

こんな「日常」になってから、もう4年が経つらしい…

「彼女」が死んだ、あの日から…







…4年前の秋の日


俺、風莉唯斗(かざり ゆいと)は「普通」を謳歌する人間だった。成績は標準以上で、クラスの学級委員長をしていた。周りからは「好青年」だと言われていたが、「別にそんなことはない」の一言で済ませるような、「普通」の人間だった。



帰り道

「おいお〜い!唯斗、一緒に帰ろうぜ!」

こいつの名前は新川謙吾(しんかわ けんご)、昔から俺の幼馴染だ。

「いや、今日はやめておくよ」

「なんだよー。あ、もしかして姫さまと帰るのか?」謙吾はからかってくる。これも日常だ。

「んー。まぁそんなところかな」

「そーか。邪魔して悪かった!また明日な!」

謙吾は帰路に就く。俺は謙吾に手を振った。


…数分後

「ごめん!待った?」

と言いながら走ってくるのは俺の「彼女」

浜名唯香(はまな ゆいか)だ。

「いや、さっき来たばかりだよ」と俺は唯香に言った。

「そーなんだ!一緒に帰ろ!」と言われて、2人一緒に帰路に就く。それが「日常」だった。







…「日常」を壊した、あの日までは。

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