M氏の覚めない夢
夢を見れなくなったM氏は潰れて乾き干からび椅子に張り付いていた。
足を組み目を閉じている。
俺はM氏の腕を折ろうと掴んだ。
確かにM氏は乾いていて、皮膚の小さな突起のようなものが俺の手に跡をつける。
M氏の腕は硬く折れない。
仕方ないので両手で掴み折った。
M氏は中まで乾き切っておらず、粘っこいM氏が残っていた。
俺は大粒の涙を流した。
『嗚呼なんてかわいそうなM氏。夢を見れなくなり、潰れて乾き干からびて。挙げ句の果てに腕まで折られるM氏。苦しかっただろう。痛かっただろう。嗚呼、なんてかわいそうなんだ。』
涙も鼻水も垂れる。
俺はM氏の折れた腕の断面に唾を塗ってくっつけてやった。
2019 11 04
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