くっころ薬とは!?

バチバチと静電気で髪の毛がぶわあってなっているメイドのメイ。

近くにセバスチュンがいることはわかっているのだ。


「あのくそメガネ!!魔王しゃまを私より早く見つけたに違いないわ!!

 自分の方が魔王しゃまの側近にふさわしいとか

 私を見下しに来るに違いないわあああ!!!」


なんか敵対心を燃やしていた。

猛ダッシュでバチバチ濃度が濃い地点を目指す。


「ゆるさねえわァ…!!あの野郎試してやる!!

 この間作ったこのくっころ薬の実験台にしてやらあ!!

 へひひひひひいひぃいひっぃいいいいぁあああ!!!!」


なんかこわかったこのメイド。


くっころ薬とは!?

魔王のためにメイドが開発した薬で

打ち込まれたものは瞬時に体の自由が奪われる!!

でもしゃべることはできる!!ので!!!

体の自由をただ奪われたものは目の前の者の

なされるがままになってしまうのだなんて恐ろしい薬だ!!


煮るなり!

焼くなり!!

くっころなり!!!


これはもういうしかない!!

くっころって!!いうしかない薬だこれな!!!


「アアアアアア!!!!!そしてええ!!!!

 魔王しゃまの目の前で自分に打ち込んでくっころしたいいいいい!!」


なんでメイドは薬を自分に打ち込もうとするのか。


するとセバスチュンの気配が進路方向からバチバチする!!

居やがったなクソメガネ!!!


丁度その時クソメガネことセバスチュンと魔虫王は

絶賛対峙中であった!


「そろそろ本気を出した方がいいのではないか?」

「ちッ、っせーな。少々固いだけで図に乗るなよ」


半ギレのセバスチュンは睨みつける!!

近くの大岩を!!

あれ!!?


ズバゴォオオンッ!!!!!


雷鳴と共に大岩が粉々に!!

そうなのだ。セバスチュンは先ほどメガネを壊されて

視力がよわよわ状態になってしまっているのだ!

よって近くの大岩を魔虫王と勘違いして即座に消し飛ばしたのだ!!


「ほう」


その様子を見ていた魔虫王!

メガネなしセバスチュンはいわば命中率はゴミ!!

範囲は広いが敵からしてみると距離を取られたら大技も当たらない!!

そんな弱点を…さらしてしまった!!!!


「その岩のように次はこちらの番、とでも言いたいらしいな」


挑発と捉えたか魔虫王!!!!


「意外と素早い奴だなてめえ」


破壊したと思っていたのが大岩とは気付かず

攻撃をかわされたと勘違いしたセバスチュン!!


「攻撃速度には自信があったのだがな、こうもかわされるとは思ってなかったぞ」


攻撃速度の事を言われたかと勘違いしている魔虫王!

ああ駄目だ!この場にはいないのだ!!

ちゃんと状況を説明して突っ込んでくれるものがいないのだ!!!


「見つけたぞクソメガネぇえええああああ!!!」


猛スピードでセバスチュン達の目の前に現れたメイドのメイ!


「殺気——!」

「ブスメイドか」


殺気を感じ取りメイドの方に振り返る魔虫王と

ため息をついて目頭を指で押さえるセバスチュン!


ずわぁあああッ!!


一瞬、魔虫王とセバスチュンの間を風が吹きぬける。


「——こいつがこの世界に来た異物かしら」

「気付くのがおせえわダメイド」


魔虫王の足にいつの間にか注射器がぶっ刺さっている!!

メイドの一瞬の動きに魔虫王は一撃をかわせなかった!!

ダメージはない。いや、徐々に、猛烈なダメージが後からやってくる!!

メイド特製の殺虫毒によって!!


「ぬ”ぅ”う”ウウゥウウウおぉお“オ“ア“!!?」


ズガァアン!!と片膝をつく魔虫王!!

メイド特製の猛毒がきいているのだ!!


「これほどの…毒が!!存在するとはなァア!?」


この猛毒に思わず魔虫王も驚愕!

虫魔界にも猛毒は存在はしていた。

しかし魔虫王には毒に耐性がすでについている!

にもかかわらずそれを無視して毒が効いているのだ!!

魔虫王にとってこの殺虫毒は未知の毒だった!!


「こんなのに時間かかってたのクソメガネだっさ」

「は?不意打ちしといて調子にのんなや毒女」


どや顔のメイドにイラつく執事。

あーこいつはなんでいつもこううぜえのか。


「ま、私の毒にかかればこんなもんよ」


得意げに注射器をくるくるシュバってしまうメイド。

まあ、この無駄に硬い虫を仕留められたからよしとしておくかとりあえずは。

やれやれとさっきの暴言を水に流そうとしたセバスチュンに対しメイドは――


「ついでにてめーのケツにもぶっ刺しといたから」


くっころ薬を。


ズガアアン!


うつ伏せにぶっ倒れる執事。


うん。ぐちゃぐちゃにしてやるから。


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くっころ大魔王 ガリュー @garyu946

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