魔王様、奴です!!くっころババアが来ました!!

「家賃払えやボケぇえええええああああああ!!」

「ぬ”う”ぅ”あ”あ”!?」


魔王に危険を知らせる間もなくババアの手に持つフライパンでぶん殴られる執事。

突然、魔王城の壁をぶち抜いてきた腰の曲がったクソババアの奇襲を受け

執事はそのまま城外へぶっ飛ばされる!!


「いいぞお婆ちゃん!もっとやれえ!」


メイドがぴょんぴょん跳ねてエールを送る。

あの前髪、戻ったら根元から切って首に巻いてつるしてやる…!


「てめえもだよ小娘ぇえええええああああああ!!」

「ぬ”ぇ”え”え”え”!?」


今度はおたまでメイドの腹をぶち叩く。

衝撃でメイドは窓ガラスをぶち破り城外へ吹き飛ぶ!

ガラス片、後でかたずけておけよ前髪メイド。


「おらァ!!魔王!出てこいや!!家賃払えやァア!!」


元々、魔王城は廃城で魔王様がリフォームしたのだが

このババアは以前、自分が元城主と言い張りながら突如現れ

あろうことか魔王様に家賃を払えと殴り込んできたのだ。

そして地味に強い。ババアのくせに。


ぶっ飛ばされた執事だったが、瞬時にババアの背後に回り込んで

メガネを拭きながらため息をつく。


「帰れクソババア。その件は以前に踏み倒すことで決着したはずだ」

「勝手に踏み倒してんじゃねえクソメガネぇえ!!」


ババアの腹パンが嫌な音を立てて見事に決まる!!

あまりの拳速に反応できなかった執事はもろに食らった!!

ババアの腹パンを!!

こンの…クソババアァ…!!


「いいぞもっとやれお婆ちゃ~ん!!」


前髪ィ…!いつのまにチアガールに着替えてやがる前髪切れや!!


執事も老体相手に容赦なく拳を振りかざすが――


「当たんねぇえわウスノロがぁあ!!」


執事の拳を次々とかわす!

目にも見えない執事の殴る蹴るの暴力の嵐をかわしまくる!!

曲がった腰がバキッと背筋ピーンになったと思えば

蹴りを腰グキャで潜り抜けサンダーをフライパンで防いで

執事の顔面にコークスクリュー!!


「ぬ”あ”あ”あ”あ”あ”!?」


メガネのレンズが砕け散ったよくっそまた買い換えないと!!


「ざまあミロ~トリ頭~!」


ま え が み ぃ い


乱闘の最中、大部屋の扉がガチャリと開く。


「あ、メイドのメイ。我の歯ブラシ知らない?」

「あひぃ!?まおうしゃま申し訳ございましぇん!!

 私が勝手に使ってしまいましたァん!!」

「なぁんだ。じゃあ、返してくれ」

「ひゃい!!」


メイド使うなや。

そして魔王様もそれ使わないでください新しいの持ってきますから。


「見つけたぞクソ魔王ァア!!家賃払えやボケぇええ!!」

「!? お前は!? ま、待て!!」

「待つかドアホがぁあああ!!」


魔王の顔面にババアの音速の拳が!!

魔王様、あぶない!!


「我今、すげえニンニク臭いから!!」


うわまじか。


刹那、魔王様の顔面に拳を叩きこもうとしたババアが

猛烈なニンニク臭波動(?)によって爆散した。


「ぐぎえぁあああああどぐせぇえええええああああ!!」

「ほら言ったじゃん」


魔王様は昨日の夕食、ニンニクがたっぷり入った

くっせえコロッケ通称くっころを23個食べていや食い過ぎです魔王様。


ババアは地面にべっちゃり倒れ込む。

着ている服はニンニク臭波動で消し飛んであられもない姿になんで?


「…くッ…ころせッ…!!」


はいババアのくっころいただきました。


すると魔王様はほぼ全裸のババアに歩み寄り

自分が来ている漆黒のマントをかけてやると


「…体を冷やしてはいかんぞ」

「…クソ魔王…」


うるんだ瞳で魔王を見つめるババアおいやめろ俺は何を見せられているんだ。


「…ニンニク…くっせえんだよボケが…」


そう言って絶命するババア。

え?死ぬの?



――丁度一か月後——



またババアが家賃の取り立てに来た。

生きてんじゃねえか何者なんだよ。

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