毒樹の果実の法理――魔女っ子★ゆきの法律エッセイ――

魔女っ子★ゆきちゃん

1 義理の親子、義理の兄弟姉妹とはなんじゃろな?

いち 義理ぎり親子おやこ義理ぎり兄弟姉妹けいていしまいってなに


 カクヨム作品さくひんでも、時々ときどきかける『義理ぎり親子おやこ』とか『義理ぎり兄弟姉妹けいていしまい』。

 でもこの意味いみをちゃんと理解りかいしていているのかというと、そういう作者さくしゃさま案外あんがいおおくないのではないかとおもうんだよね?

 だってわたしだって、よくわかんないもん。

 というわけで、これをはっきりさせるべく奮闘ふんとうしてみるよ。

 がんばルビィ☆


 じつ親子おやこ


 まず、『義理ぎりの』といていない、つまりつながりのあるじつ親子おやこ兄弟姉妹けいていしまいについて調しらべてみるね。

 法律上ほうりつじょう実子じっしとは以下いか場合ばあいだよ。

いちつま婚姻中こんいんちゅう懐胎かいたいした

婚姻こんいん成立せいりつから二百日にひゃくにち経過けいかしたあとまた婚姻こんいん解消かいしょうしくは取消とりけしのから三百日さんびゃくにち以内いないまれた

さんちちまたはは認知にんちした

 ちち認知にんちしたは、その父母ふぼ婚姻こんいんによって嫡出子ちゃくしゅつし身分みぶん取得しゅとくする

 婚姻中こんいんちゅう父母ふぼ認知にんちしたは、その認知にんちときから、嫡出子ちゃくしゅつし身分みぶん取得しゅとくする

 認知にんちは、出生しゅっせいときにさかのぼってその効力こうりょくしょうずる

👪上記じょうき場合ばあいじつとなるよ。

 なお認知にんちというのは、婚姻こんいん関係かんけいにない男女だんじょあいだまれた(非嫡出子ひちゃくしゅつし)について、ちちまたはは自分じぶんであるとみとめて、法律上ほうりつじょう親子おやこ関係かんけい発生はっせいさせることだよ。


 義理ぎり親子おやこ義理ぎり兄弟姉妹けいていしまい


 わかりやすいれいげるよ。

 つバツイチ男性だんせいつバツイチ女性じょせい再婚さいこんした場合ばあい、おたがいのとは義理ぎり親子おやことなるよ。

 そう、親同士おやどうし再婚さいこんしたからといって、当然とうぜんには相手あいてとは法律上ほうりつじょう親子おやこにはならないんだね。

 また、同士どうし義理ぎり兄弟姉妹けいていしまいとなるね。

 未成年みせいねんどもがいるバツイチ同士どうし再婚さいこんでは、一般的いっぱんてきにおたがいのどもを養子ようしにするケースがおおいとおもうよ。

 これで法律上ほうりつじょう親子おやこ関係かんけい発生はっせいして、苗字みょうじもおとうさんおかあさんとおなじになるからね。

 またこれによって、ども同士どうし法律上ほうりつじょう兄弟姉妹けいていしまいになるよ。

 なお、おたがいの養子ようしにしなかった場合ばあい両親りょうしんうじちが両親りょうしんおなうじしょうするようにできる手続てつづきがあるよ(第七九一条第二項参照だいななひゃくきゅうじゅういちじょうだいにこうさんしょう)


 ところで、法律上ほうりつじょう親子おやこ兄弟姉妹けいていしまい関係かんけいとなったあとでも『義理ぎり親子おやこ義理ぎり兄弟姉妹けいていしまい』といったわれかたをすることがあるみたい。

 きっとこれは、『生物学的せいぶつがくてき親子関係おやこかんけい兄弟姉妹けいていしまい関係かんけいにない』ということから『義理ぎりの〇〇』という表現ひょうげん使つかっているんだとおもうな。

 いわゆる『つながりがない』ということだね。

 法律上ほうりつじょう義理ぎりではなくて、本当ほんとう親子おやこ兄弟姉妹けいていしまいだよ。

 ちなみに、この同士どうし結婚けっこんすることができるよ(第七三四条但し書きだいななひゃくさんじゅうよんじょうただしがき)。これは家督相続かとくそうぞく時代じだい名残なごりなんだって。

第七三四条だいななひゃくさんじゅうよんじょう 直系ちょっけい血族けつぞくまた三親等さんしんとうない傍系ぼうけい血族けつぞくあいだでは、婚姻こんいんをすることができない。ただし、養子ようし養方ようかた傍系ぼうけい血族けつぞくとのあいだでは、このかぎりでない。


 直系ちょっけい傍系ぼうけいについて説明せつめいしておくよ。

 直系ちょっけい両親りょうしん祖父母そふぼまごのような上下じょうげつながりだよ。

 ひとつ上下じょうげすると一親等いっしんとう。ふたつだと二親等にしんとうだよ。

 配偶者はいぐうしゃ親等しんとうはないよ。いうなれば0親等ゼロしんとうっぽいかんじだね。

👨👩両親りょうしん 一親等いっしんとう

👴👵祖父母そふぼ 二親等にしんとう

👦👧 一親等いっしんとう

👶まご 二親等にしんとう

👫配偶者はいぐうしゃ 親等しんとうなし(0親等的ゼロしんとうてきな?)


 傍系ぼうけい場合ばあい共通きょうつう祖先そせんのところまでがってりてくるよ。

 兄弟姉妹けいていしまいだと、自分じぶん(とその配偶者はいぐうしゃ)→両親りょうしん→その(兄弟姉妹けいていしまい)になるから二親等にしんとうだよ。

 叔父叔母おじおばは、自分じぶん(とその配偶者はいぐうしゃ)→両親りょうしん祖父母そふぼ祖父母そふぼ(叔父叔母おじおば)で三親等さんしんとうだね。

 で、従兄弟姉妹いとこは、叔父叔母おじおばだから四親等よんしんとう四親等よんしんとう傍系ぼうけいだから結婚けっこんできるというわけだよ。

 甥姪おいめい兄弟姉妹けいていしまいだから三親等さんしんとうだよ。

 ルールさえおぼえたら簡単かんたんだよね♡


 血族けつぞく姻族いんぞくは、血族けつぞくがいわゆる血縁関係けつえんかんけいがある親族しんぞく

 姻族いんぞく婚姻こんいんによって、親族関係しんぞくかんけいができるんだね。

 なお、養子ようしつながりがなくても血族けつぞくになるよ。法律ほうりつによる擬制ぎせいといったかんじだね。


さん 法律用語ほうりつようごかたについて


 一般的いっぱんてきには『きょうだいしまい』とまれる『兄弟姉妹』が、法律用語ほうりつようごとしては『けいていしまい』とまれるのにはびっくりしたな。これはらなかったよ。

 『遺言』『競売』『施行』など、一般的いっぱんてきには『ゆいごん』『きょうばい』『せこう』とまれる言葉ことばだけれど、法律用語ほうりつようごとしては『いごん』『けいばい』『しこう』とむよ。

 ちょっとまよったのが『物』で、ウィキペディアでは『もの』とあったんだけれど、実務上じつむじょうあるいは講学上こうがくじょう、『もの』や『もの』と区別くべつするため、『ぶつ』とむことがあるといてあったので『ぶつ』とむことにしたよ。


よん 参考資料さんこうしりょう

 参考資料さんこうしりょうとして民法みんぽう親族編しんぞくへん条文じょうぶんかかげておくよ。

 ルビをるかどうかはまよったけれど、高校生こうこうせいにはむつかしいとおも言葉ことばと、法律用語ほうりつようごとして独特どくとくかたをする言葉ことばにだけルビをったよ。


民法 第四編 親族

第一章 総則


(親族の範囲)

第七二五条 次に掲げる者は、親族とする。

一号 六親等内の血族

二号 配偶者

三号 三親等内の姻族


(親等の計算)

第七二六条 親等は、親族間の世代数を数えて、これを定める。

二項 傍系親族の親等を定めるには、その一人又はその配偶者から同一の祖先にさかのぼり、その祖先から他の一人に下るまでの世代数による。


(縁組による親族関係の発生)

第七二七条 養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。


(離婚等による姻族関係の終了)

第七二八条 姻族関係は、離婚によって終了する。

二項 夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする。


(離縁による親族関係の終了)

第七二九条 養子及びその配偶者並びに養子の直系卑属及びその配偶者と養親及びその血族との親族関係は、離縁によって終了する。


第二章 婚姻

 第一節

  第一款だいいっかん 婚姻の要件


(婚姻適齢)

第七三一条 婚姻は、十八歳にならなければ、することができない。〔本条の施行は、令和四・四・一〕

【第七三一条 男は、十八歳に、女は、十六歳にならなければ、婚姻をすることができない。〔令和四・三・三一まで〕】


(近親者きんしんしゃ間の婚姻の禁止)

第七三四条 直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方ようかたの傍系血族との間では、この限りでない。

二項 第八百十七条の九の規定により親族関係が終了した後も、前項と同様とする。


 第二節 婚姻の効力


(夫婦のうじ)

第七五〇条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。


(生存配偶者の復氏ふくし等)

第七五一条 夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏にふくすることができる。

二項 第七百六十九条の規定は、前項及び第七百二十八条第二項の場合について準用する。


第三章 親子

 第一節 実子じっし


(嫡出ちゃくしゅつの推定)

第七七二条 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。

二項 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。


(認知)

第七七九条 嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。


(認知の効力)

第七八四条 認知は、出生しゅっせいの時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない。


(認知の取消しの禁止)

第七八五条 認知をした父又は母は、その認知を取り消すことができない。


(準正じゅんせい)

第七八九条 父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子ちゃくしゅつしの身分を取得する。

二項 婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する。

三項 前二項の規定は、子が既に死亡していた場合について準用する。


(子の氏)

第七九〇条 嫡出である子は、父母の氏を称する。ただし、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する。

二項 嫡出でない子は、母の氏を称する。


(子の氏の変更)

第七九一条 子が父又は母と氏をことにする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。

二項 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏を称することができる。

三項 子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前二項の行為をすることができる。

四項 全三項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。


 第二節 養子

  第一款 縁組の要件


(配偶者のある者が未成年者を養子とする縁組えんぐみ)

第七九五条 配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない。ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。


(配偶者のある者の縁組)

第七九六条 配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得なければならない。ただし、配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。


  第三款 縁組の効力


(嫡出子の身分の取得)

第八〇九条 養子は、縁組の日から、養親ようしんの嫡出子の身分を取得する。


(養子の氏)

第八一〇条 養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。


 これでおしまいだよ。

 なにかわからないことがあったりだとか、説明せつめい不十分ふじゅうぶんだとおもったときは、質問しつもんしてきてね。

 たのんだよ? よろしくね☆

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