第30話 真実3

海藤に優しく促されて、新宮の目には力が入った。

お礼を言おうと振り替えると海藤は既に姿を消していた。

ぼんやりしていると急に声をかけられる。

「女神さん、頼む。あいつの心を救ってくれ。」

いつもの明るい印象と違って悲痛な顔をしているレイであった。

「レイ、今はいつなの?リョウとの話から、

私が呪ってすぐなの?」

努めて冷静に確認する。

「そうだ。一週間前にリョウはあの女性をこの村に連れてきた。君はその三日後にリョウを呪った。恐らく他の村の人間に言いくるめられたんだろう」

レイも冷静な返答をしてくれた。

記憶はほとんど戻ってきていた。

一番始めにお互いの気持ちがずれてしまったのはいつだったのだろうか?

それでも今自分がやるべきことは、決まっている。

あの時閉ざしてしまった扉をあける。

「僕なんかにもうそこまで構わなくてもいい、君も僕の近くにいたら呪われてしまう。もう関わるな、レイ」

家の奥から出てきながら力ない声でレイに話しかけていたリョウは、扉から入ってきた人間を見て、驚いていた。

「すまない。レイではない」

新宮は震える声をなるべく落ち着けながら、リョウに声をかける。

「私は…」

続けて言葉を出そうとするのを、リョウに遮られた。

「君は、どうして?

君はカオの生まれ変わりだろう?

しかも、何で君は人間に?」

リョウの言葉にすっと目を背ける。

「まさか?」

リョウは勘がするどかった。

「まさか、僕を呪ったことに原因が?」

新宮は静かに言葉を紡いだ。

「そうだ。そもそもお前と一緒に暮らすことによって、女神としての格がひとつ下げられていた。そこに深い呪いによって、神界によって、私にも呪いがかけられた。神ではなく人間になり、ずっと輪廻を繰り返す」

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