第28話 真実

イケメンの男は誰だかわからないが、彼がしきりに女神さんという言葉を言っている。

そして親近感のわく、リョウという男は、何か大罪をおかし、取り返しのつかないことをしている。

「ごめんね。レイ。」

リョウは初めて話している相手に謝った。

「俺に謝らなくていい。早く女神さんの誤解をとけ。お前が連れてきた女性とお前は全く関係ないし、あの子供はお前の子供ではないだろう?」

リョウは力なく笑う。

「それでもカオはあの子供は僕の子供だと思っている。それに、僕は彼女とあの子供を救いたいと思ったのに間違いはないし、カオのところに帰らなくなって彼女の家にずっといたことは嘘ではないから」

レイは言う。

「女神さんは人間の子供の成長を知らなすぎる。

あの子供がもしもお前の子供ならば、もう何年も前から浮気をしてたことになるが、あの女性はその頃、他の男と付き合っていた。何なら、最近までその男の暴力に耐えていたのを村のほとんどの人間が知っている」

新宮は話を聞きながらガタガタと震えていた。海藤はそっと肩に手をやる。

「大丈夫?新宮さん」

新宮は海藤の言葉が聞こえていない。

新宮は事実に気がついた。

リョウは裏切ってなどいなかった。自分を裏切り、他の女と子供をつくり、子供の作れない自分をバカにしてた訳ではなかった。少し考えればわかることだった。人間の子供は1年に少しずつしか成長しない。

彼が連れてきた子供はどう考えても5、6歳であった。

記憶がつながる。リョウが連れてきた女性が何度も、女神に…自分に話があると言っていた。

それをずっと、突っぱねた。

あの時自分はリョウにどんな呪いをかけたのか。

「お前とお前の血を受け継ぐものに、一番愛する人間に愛されない呪いをかける、お前が生まれ変わっても何度でもこの呪いは切れない。私の女神としての命をかけて呪う」

女性以外にもずっと、レイは言っていた。

「お前たちはずっとボタンをかけ違っているんだ、きちんと話し合え」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る