第25話 そして、新たな一歩を踏み出す
海藤の言葉に衝撃を受けた新宮は当て馬部を飛び出していた。混乱と衝撃が襲ってくる。
自分を裏切ったはずの男が、すごく親身で、そして消え入りそうな声で告白してきた。
確かに生まれ変わりであるが、根本は変わらないはずだ。
走って走って走ったところに、朝美が立っていた。
「何かあったんかい?女神さん」
「海藤に告白された」
「それで?こっぴどく振ったのか?」
少しニヤつきながら、朝美は聞いてくる。
新宮は黙って首を横に振った。
「正直よくわからない。数日見ていた海藤は紳士的で優しく、穏やかで。あんな男が私を裏切るだろうか」
朝美はニカッと笑った。
「そうか。女神さん、本当のことを知る覚悟があるか?」
新宮はきょとんとしている。
「そのつもりがあるなら、あの昔に何があったのか知ることができる。俺が生まれ変わったのはそのためでもあるんだよ」
新宮はすごく、驚いていたが、決意を言葉にした。
「いまの海藤を見て思う。私は過去を知らなきゃいけない」
「じゃあ今日の夜9時に学校の校門で」
朝美の家には代々伝わる鏡がある。朝美の前世の頃に力を貯めた不思議な鏡は過去に飛ぶことができる。
レイが現世でリョウとカオの仲違いを止められなかったのを悔いて力を貯めたものだった。
朝美は家に帰ると古ぼけた鏡を探しだした。
夜もどんどん暮れて、新宮は待ち合わせの30分前から校門前にいた。
ドキドキしていると急に声をかけられる、
「新宮さん」
その声は海藤であった。
新宮はドキッとした。
「なんでここに?」
「何か朝美に手伝えと言われて。ここに来いと言われて来たのだけど、そしたら、新宮さんがここにいたんだよね」
新宮が出ていった後を追って行こうとしたら、
朝美から、引き留められ、今の時間に学校に来いと言われた。
「昼間は急な告白してごめんなさい」
真面目な表情をみて、新宮はむずがゆくなる。
少しきまずい空気が流れてるところに、
自作の不思議な鼻歌を歌いながら、朝美は現れた。
「おーー!二人とも揃ってるねー」
海藤が何か尋ねようとした瞬間、二人の前にさっと古ぼけた鏡を出して、聞いたことのない呪文を唱えると二人は鏡に吸い込まれていった。
肩で息をしながら朝美は、
「がんばれ、二人!」
と言っていた。
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