第18話 海藤の恋
その日、海藤僚は、当て馬部ではなく、生徒会室で書類の整理をしていた。
ノックの音がして海藤は顔をあげる。
扉を開いてきたのは、見たこともない美少女だった。
「朝美さんはいますか?」
腰まである黒髪は手入れされていて、ぱっちりとした
瞳は印象的だった。
「今、朝美は席をはずしていて」
海藤が説明すると
「そうですか、それなら失礼します」
と扉を少女は閉めようとした。
「言伝てしますので、失礼ですがお名前教えていただいてもよろしいですか?」
海藤は丁寧に対応しようとしたが、少女は一瞬ビックリした顔をした上で少し心外だと言う顔をして、扉をピシャリと閉めた。
あまりの出来事に海藤はぼーっと扉を見つめていた。
数時間後、いつものテンションで朝美は入ってくる。
「どーしたのー??りょーちゃん!ぼーっとして」
海藤はうわ言に様に呟く、
「お前にお客さんがきたよ。すごくきれいな人」
「え??誰だろ?」
「名前を聞こうとしたら、少し嫌な顔をしてでてってしまった」
朝美には心当たりがあった。それは、新宮薫子だ。
ただ、新宮は基本的に別棟から出ない。
それなのに出てきたのはおそらく急を要することが起こったからだ。
「朝美、あの人は誰だ?」
明らかにぽーっとした顔をしてしながら、海藤はきく。
「りょーちゃん、恐らくそれは、
新宮薫子さんだよ。うちの学校の理事長の娘の
。りょーちゃんは会ったことなかった?」
よく考えれば入学式の時に後ろ姿は見かけた。
生徒たちの中で絶大の人気と謎に包まれている
少女がいるのは知っていた。
海藤は正直に朝美に告げた。
「朝美、俺は新宮さんに一目惚れしてしまったみたいだ」
朝美は笑う。
「また、前途多難なとこにいったなー。まぁ、それでこそりょーちゃんだけど」
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