第17話

この学校には一般生徒に人気の生徒が三人いる。

文武両道、顔もよく、性格も穏和な生徒会長 海藤僚。

生徒会長の幼馴染みで小柄な美少女だがトリッキーな性格と影で牛耳っているという噂がある朝美怜奈。

この二人とは別格でこの学校内での都市伝説のような存在の理事長の娘 新宮 薫子。

新宮薫子は、生まれつき体が弱く、理事長の娘ということもあり、別教室で授業をうけており、

ほとんどの生徒は姿を見たことがない。ただ、年に数回の行事のみ数分間姿を表す。

あまりにレアな存在のため、薫子を見かけた人は幸せになれるという噂までたつくらいだ。

学校内に薫子のための別棟があるが、噂によると授業もネットで受けているので、生徒にしろ先生にしろ

基本的にそこに近付く者はいない。

まるで、幽閉されているようなので、囚われの姫とまで言われている。


当て馬部の怪しい噂も気がつけば、沈静化され、

男女の対立関係も緩やかに落ち着いてきたある日、

中谷は、陸上競技に使った用具をしまいに、用具倉庫に向かっていた。用具倉庫は別棟を突っ切ったところにある。

物々しい雰囲気の別棟は何となく気味が悪いので急いで走り去ろうとしたら、別棟の入り口に、小柄な人影を見つけた。

とりあえずその場足踏みをして、スピードを緩め横目でチラリと入り口をみやると、どうみても見たことある人物だ。それは朝美だった。

朝美は、慣れた手つきで扉をあけ、中に入っていった。

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