第13話

田村小夏を見送ったあと、大きな伸びをしていると

どこからともなく、朝美がやってきた。

「りょーちゃん、おつかれ。今日は何か、爽快な顔してるね」

朝美はいつも通りからかってくる。

「まぁね。田村さんにはひどいこともいっちゃったのに、最後は元気になって帰っていったからよかったなーと思ってるよ」

「りょーちゃん、結構相談役向いてるのかもね」

真面目なトーンで言ったかと思えば

「まぁ、りょーちゃんの、出会い増えていってないけどー」

歌うようにディスる。

「最悪、私が嫁にしてあげるよー」

楽しそうに宣言する。

「嫁?」

「そう、りょーちゃんがお嫁さんだから、ウェディングドレスか白無垢着るんだよ」

「は!!??ふざけるなー」

海藤は叫んだ。


数週間がたち、着々と女子生徒の相談にのって、見事解決していく海藤。

残念ながら海藤自体の恋愛の方には何の進展もなかったが、ある意味、人の役にたつことが、海藤の性格にはあっていた。

女子からの人気は以前から高かったが、

アイドルのような存在から頼れる人としてに変わっていた。

変わりに男子生徒から、当て馬部は不穏な存在として、認識されるようになっていた。

相談者を女子に絞っていたことと、

相談中は海藤と女子生徒の二人っきりになっていたことが、変な噂をうんでいた。

相談と称して、海藤が女子生徒に手を出している

という噂だ。

その度に相談者の女子たちが力一杯否定している。

「そろそろ相談を男子にもひろげてもいいかもな」

海藤は朝美に伝える。

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