第9話 招待状
佐々木清美から紹介されたことを証明する招待状を持って朝美怜奈が田村小夏の教室に現れた。
朝美は小夏と大差ない小柄な体型だが妙に花がある。
大きめな目と活動的だからだろうか。
招待状を舞うように渡された小夏は同性のはずなのに少しドキッとした。
招待状は、濃い紺色の便箋にはいっており、
封は蝋でとじてあり、印をおされている。
まるで物語の主人公にくる手紙のようだ。
「きよちゃん、何かすごい、手紙来た!」
思わず清美に便箋を見せる。
閉じてある封の印を見ながら、清美も言う。
「本当だね!まるで、昔の貴族みたいだね」
感覚が何となく似たところのある清美は一緒にいて、心地がいい。
特別な封閉じを、壊さないように慎重に手紙をあける。
本日午後三時に空き教室 当て馬部にてまつ
中身は封筒のおしゃれさとは見合わない、果たし状風であった。
清美も一緒に中身を見ると二人で目を見合わせてしまうくらいの。
そして、清美は小さく言う。
「これは間違いなく当て馬部の朝美さんの作成だよ、偽装のしようがない。」
確かにこれならば、偽物を作るのは難しいだろう。
それにしてもと小夏は思う。
この当て馬部に行ってから、清美は妙にさっぱりした顔をしている。
元々冷静なところはあるが、妙にソワソワしているときがあったのだが、今では少し自信をもててる気がする。
これがカリスマ生徒会長の能力なのか、それともたまたまなのかわからないけれど。
自信のある清美は、元々注目されていたのに、さらに
魅力的になった。小夏にとっては、少し羨ましい。
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