第7話 佐々木清美2
「恥ずかしい話なんですが、私、今まで1度も恋愛をしたことがなくて」
恥ずかしそうに清美は俯きながら、早口に言葉を並べた。
「みんな、誰かに恋をしたことがあって、
でも、私は誰かにきゅんとしたこともなくて。仲良しの友達の子なんて色んな男の子に恋をしてるんです。小学生くらいの頃は別に特殊じゃなかったけど、今は休み時間も登下校も恋ばなをみんなしてるので、
みんなに気づかれない程度に、頷いたりしています」
清美の告白に海藤は目を見開く。
「それは、辛いね」
「いかに周りにうかないかが大事です!あと、友達の好きな人と長時間二人っきりにならない。二人になったら、さりげなくアシストする」
「!!!女子は大変だね」
海藤は本当にびっくりした顔をしている。女子同士のグループはまるで鉄の掟のようなルールがある。
「佐々木さんのいうようなキュンはないとしても、一緒にいて落ち着く人とか楽しい人はいないの?」
「クラスのなかにまぁまぁ仲良くしてる男子がいますけど、緊張はしませんが、本当に単なる友達ですね」
海藤は清美のしっかりした発言にときめき始めている。
清美は静かなタイプと思いきやきちんと意見の言える今まで周りにいなかったタイプだ。
「佐々木さん、きっと、佐々木さんはきちんと人を見て、人となりを把握してから人惹かれるタイプなんだよ。全然恥ずかしくない」
海藤の褒め言葉に清美は小さく微笑む。
「ありがとうございます!」
表情は明るくなっていた。
「私もゆっくり恋愛できる人を探しますね!」
海藤は少し清美に惹かれていたが、あまりにもさっぱりしていたので、言葉にできなかった。
言葉にしたら恐らく清美の表情は曇ってしまう。
小さくペコリと会釈した清美の背中を海藤は静かに見送った
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