第8話 その魔王完敗につき
「作戦を立てよう」
魔王がそう口にする
「作戦……?まぁ確かに真正面から行った所で返り討ちにされるのが落ちだからな」
立ち上がっていたニコラスが冷静に腕を組、椅子に座る。
「しかし……いい作戦などあるのか……?」
「フフ……」
魔王は不適な笑みを浮かべる。
すると手を大きく広げた。
「俺の魔法は変身とワープだっ!!」
ニコラスは椅子から勢いよく立ち上がる。
「なるほどっ!猫などに変身すれば合法的に見れるかも知れんっ!!」
「アッハッハッハッッ!!」
「まて……その魔法は俺に使えるのか?」
「無論使えないっ!!」
「ふざけるな貴様だけ抜け駆けなどさせてなるものかぁ!!」
「あばよシスコンっ!俺は勝ち組になるんだっ!変身っ!」
魔王はあの白い霧に包まれる。
白い霧はたちまち部屋中に立ち込み、再び消えた時には既に魔王姿は無かった。
「くっ……遅かった……か……」
ニコラスは机に手を着く。
小さいタンスのある脱水場に2人はいた。
「へぇー……ここ温泉になってるんですね」
ルルが上着を脱ぎながら言う。
「いやまぁ……お兄ちゃんが作ったんですよ……ロマンがあるとか訳の分からない事言って……」
カナエも上着を脱ぐ。
「いいお兄ちゃんじゃないですかっ!」
ルルは笑顔で微笑む。
「いやまぁ何もしなかったらの話ですけど」
ニャー……ニャー
一匹の茶毛の猫がルルに近付く。
「あら?可愛い猫さんですね!」
ルルは笑顔でその猫を天に掲げる。
「ルルさん……その猫……」
「えっ?何?」
ルルは猫を抱いたままカナエに振り替える。
「ボク……アレルギー何です。」
ガラガラ バンッ
「おいっ!!先に言えやシスコン!!」
「フッ……貴様が抜け駆けしようとするのがいけ」
魔王はニコラスの頬を千切れんばかりに引っ張る。
「協力だろ協力ぅぅぅう」
負けじとニコラスもやり返す。
「うすひゃい貴様に協力など言われる筋合いは無いわぁぁあ」
再び2人は冷静になり手を組椅子に座る。
「よし分かった……」
ニコラスが口を開く。
「何がだ……」
「互いが裏切れないよう1つ言ってはいけない秘密を暴露しよう」
「お前にしてはいい案だな……ニコラス……言い出しっぺが先に言え……」
ニコラスは髪をかきあげる。
「フッ…仕方がないッ」
「俺は毎日、我が妹がマキを取りに行っている最中に隠れて我が妹の枕に自分の性器をスリスリしているのだッッ!」
「お前ヤバイな……引くわ……」
「まぁ何故か分からんが、いつも枕が臭いと言われ新しい枕を買わされるがな…」
「それ、バレてんじゃん……」
「さぁ次は貴様の番だッッ!!」
魔王は気が進まなくも
「お前みたくエグい性癖は無いからな……」
「ルルとサバイバル生活をしている最中に隣で寝てるルルの髪を匂ぎながらズボンをゴソゴソしてるぐらいだよ……」
「いや、貴様も中々エグいぞ……」
「えっ……そうか……?これよりもルルの体」
「もう分かった言わなくていい。貴様は倫理観と言う物が無いのか」
「とにかくこれで二人まとめて覗けるなッッ」
「あぁ……そうだなっ!行こう兄弟!!」
2人は立ち上がり腕を組む。
「ここは俺が作った温泉だ。回りは木に囲まれているように出来ている。その木々の間からバトル開始だっ!!」
「おうっ!!行くぞ!!」
ふぅぅぅ……
石の囲いに背を任せるルルとカナエ
足を思いきり伸ばし42°という丁度いい温度で2人は極楽に浸かっていた。
「いい温度ですね……カナエさん……」
「カナエで良いですよ。ボクもルルって呼びますから」
「じゃあ、カナエ……何か悩みとかありますか…?」
カナエはルルの方へ向く。
「いや……その恥ずかしいんですが…」
顔を赤く染め、モジモジしている。
「遠慮無く言ってくださいねっ」
ルルは笑顔でカナエに答える。
ガサガサ
「ニコラス……光が見えたぞッッ!」
「あぁ行くぞっ!!俺たちの
木々を手でかき分け光の先へ着いた。
「うおぉぉぉなっ!?」
魔王は鼻血を吹きその場で倒れる
「どうしたんだ勇者!!なっ!?」
ニコラスも同じく倒れる
そこにはカナエがルルの胸を笑顔で揉みうずくまっていた。
「な、な、な、何だあれは……」
「忘れ…ていた…我が妹はレズビアンだ…」
ガクッ
「だから……ルルに家に来るかって……」
ガクッ
こんな形で……俺たちが負けるとは……
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