第6話 不在のトキ

 サモちゃんが実家に帰る準備と同時並行で、庭や共用スペースを一緒に掃除した。

 幸いなことに、私もサモちゃんもルームシェアという体で一緒に暮らしていた分、小まめに掃除をしていたから大掃除と言ってもさほど苦はなかった。

 一人暮らしをしていた頃は極限まで散らかしても片付けの優先順位が低かったことを考えると大成長を遂げた。

 だが私にとって不運なことに、エマノンが年末二十九日から正月休みに入ってしまうことが発覚してしまった。彩ちゃん達は少し長めに年末年始休暇を取ってヨーロッパの美味しいものを食べに行く旅行に行ってしまうと連絡が入ったからだ。

 一応サモちゃんに色々教えてもらって料理をする抵抗は少なくなったとはいえ、まだ苦手意識がある私にとってエマノンがないのは死活問題だ。

 どうしようかと悩んでいたら、大掃除とは別にサモちゃんが数日分の常備菜を作って冷蔵庫にしまってくれた。

 「多分おねーさんは放っておくと三食コンビニご飯になりそうだから。あとご飯もラップで包んで冷凍庫に入れてるし、ご飯炊くのも嫌だったらそれ使って?」

 きんぴらごぼうをタッパーに詰めながら言われてしまったが、今までの生活を振り返るとサモちゃんの言っていることは大正解である。

 私は感謝してもしきれないくらいのお礼を言った後で、共用スペースの水回りの掃除は全部引き受けることにした。





 そんなこんなで一日一日があっという間に過ぎていき、とうとうサモちゃんが実家に帰る日の朝になってしまった。

 次にサモちゃんに会えるのは年明けになってしまう。私も仕事が休みの日だったので、駅まで見送ることにした。

 サモちゃんは黒のボストンバックを手に玄関のカギをしめた。

 彼の首には私がクリスマスプレゼントであげたマフラーがしっかりと巻かれていた。

 「それ、使い心地どう?」

 私が自分の首をトントンと指差して聞くと

 「ずっと着けててもチクチクしないし暖かいしバッチリだよ。もし失くしたらショックは大きいかも」とマフラーを撫でて笑ったので、私はなんだか誇らしくなった。

 朝もやが残る中、人の少ない道を二人で歩いていると私たちだけ朝に取り残されるような気がして少し怖かったから、つい私はいつもより饒舌になっていた。

 話の中でサモちゃんの実家はここから電車と新幹線を使って大体二時間位なこと、サモちゃんは一人っ子だがいとこが多いこと、今年は親戚一家が久しぶりに遊びに来るということもあってサモちゃんも帰って来るように言われたことなどを駅までの道のりの中で教えてもらった。

 早めに家を出ていたから私とサモちゃんは少しだけゆっくり歩いた。気付けば駅と家の中間地点まで来ていた。

 サモちゃんは「戻って良いよ。寒いから」と言ってくれたが、なんとなくサモちゃんと離れてしまうのが名残惜しかった。

 だから「最近運動不足だしウォーキングも兼ねてるから」と言い訳をして無理矢理サモちゃんの手を掴んでそのまま駅に向かってずんずん歩いた。

 サモちゃんに貰った手袋も着けていたが、手を繋いでいるうちに直接サモちゃんに触れたくなった。だから片方だけ手袋を外して、そのままコートのポケットにしまった。

 サモちゃんは私の行動に対して一瞬驚いたようだが、すぐに暖かくて大きな手で私の手を包んだ。

 「ここまでしてもらってるんだし、改札まで来てもらおうかな」とフワフワとした笑顔を見せていた。





 駅に着いた時、サモちゃんは「こんなにおねーさんと離れるのって初めてだからなんだか寂しいな」と中々改札を通ろうとしなかった。

 私だって口に出さないだけで寂しいのは一緒だ。

 一人暮らしの時に感じていた寂しさとはまた違ったもののように思えた。

 「ほら、早く行かないと予約した新幹線乗れなくなっちゃうよ?」

 「その時は時間ずらして乗るから良いよ」

 こんな問答がしばらく続いたが、離れたくないという気持ちが雪のように静かに私たちの間に積もっていくだけだった。

 このままだとサモちゃんは実家に行くのをやめるとでも言いだしそうだ。さすがにそれは良くないので、サモちゃんの大きな背中をグイグイと押した。

 「ほら、私に山ほどお土産買ってきてくれるんでしょ? 行っといで」

 あくまでも私は「食いしん坊のおねーさん」というスタンスは崩さずに言いきった。

 サモちゃんは少し吹き出した後「仕方ないなあ。じゃあ行ってきます」と笑って改札の向こうに歩いて行った。

 私は、サモちゃんの背中がホームに降りていく階段に吸い込まれて見えなくなるまで、なんとなくその場から離れられなかった。





 「四ツ谷くんがいないのって四、五日でしょ?」

 その日の夕方、ほぼ開店直後のエマノンに行った私は、やや呆れ顔の彩ちゃんに出迎えられた。

 「まあそうなんだけどね……。そんなに変な顔してる?」

 「してるしてる。この世の終わりみたいな顔して店に来るもんだから一瞬ビックリしたよ。それにしても、一人で何をしても平気だった子がこんなにしおれちゃうんだから、ある意味すごいね」

 彩ちゃんは笑いながらホットワインをカウンターに置いた。

 いつも通り店に来たつもりだったが、そんなにひどい顔をしていたのか。我ながら驚きだ。

 そう思いつつホットワインを飲んだ。シナモンの香りが口いっぱいに広がって体の中から温まっていく。

 「確かにサモちゃんがいないのは寂しいけど」

 私は俯いて言い淀んでしまった。

 「けど?」

 「……私のこの気持ちは恋なのか家族愛に近いものなのか分かんなくてずっとモヤモヤしてる」

 私の言葉を聞きながら、彩ちゃんはカウンターに肘をついた。私を見つめる眼差しは、悪夢を見て飛び起きた子供をあやす母親みたいだった。

 「私自身の気持ちがあやふやなのに一緒に暮らしてるのってズルいなって。ずっと内心そう思ってたから……私のこの寂しい気持ちは都合の良い思い込みみたいなものじゃないかって。ねえ彩ちゃん、恋ってどういう感情なら正解?」

曖昧すぎるかもしれないが、ずっと彩ちゃんに訊きたいと思っていたことを言えた。

 彩ちゃんは少し考えた後、柔らかく笑った。

 「それに関しては個人差があるから正解はないんだよ」

 「そんなものなの?」

 もっと数学の計算問題みたいに明確な答えがあると思っていたのに。落胆した私に、彩ちゃんの穏やかな声が降ってきた。

 「実は私とダンナだって付き合いたての頃は私の方が一方的に好きって感じだったんだよ。私の好きがキャンプファイヤーだとしたらダンナの好きは日だまりみたいな感じ。こういうこと話すのちょっと恥ずかしいけどね」

 「そうなの?」

 「うん、だから好きって気持ちは一緒にいる相手と必ずしも同じじゃなくて良いんじゃない? ほら、映画とかでも全部が全部濃厚なものばっかりじゃないし」

 彩ちゃんの言葉は、夜の航海で遭難していた船に灯台の灯りが見えた時みたいに安心できるものだった。

 彩ちゃんの言葉を聞いて、私自身もサモちゃんに昔の彼女のことを聞いた時に同じような答えを伝えていたのを思い出した。

 「……なんか彩ちゃんが言ってること、しっくりきたよ。ありがとう」

 「それなら良かったよ。でも四ツ谷くんって家でどういうことしてくるの? 気になってきたし聞いても良い?」

 「うん、リビングにいる時とか帰ってきた時なんかに抱きつかれたり」

 「ん?」

 「この前はケーキ食べてる時にクリームついてるからって取ってもらったクリームを食べられたりしたよ」

 「えっ……」

「その直前に肩を掴まれたからキスでもされるのかな? って一瞬思ったけど自意識過剰だなって考えるのをやめた」

 「あー……これは四ツ谷くんも苦労してるね……」

 彩ちゃんは私の話を聞いて苦笑いをした。





 エマノンから帰ると、私を出迎えた家が想像以上に真っ暗で驚いてしまった。

 サモちゃんを見送って帰ってきた時はまだ昼だったから気にならなかったが、夜になると人の気配がないだけでこんなに暗くなるなんて。玄関からリビングに向かう廊下が、まるでぽっかりと口を開けた怪物のようにも見えた。

 「ただいま」と言ってみても、当然返事はない。シーンとした家に私の声が吸い込まれただけだ。むしろ私しかいないはずなのに返事があったら怖いレベルだ。

 サモちゃんがエマノンで働き始めた時にも、一人でこの家にいることに寂しさを感じていたが「サモちゃんは仕事が終わればこの家に帰ってくる」と分かっていたから、今ほどの寂しさはなかった。

 次に支払う電気代は少し高くなってしまうかもしれないが、明日から仕事に行く時は廊下の電気位はつけておこう。手探りで電気のスイッチを探しながらそう思った。





 サモちゃんがいない分、二階に行っても私以外の人の気配がないのが寂しくて、ついリビングのソファーに寝具一式と抱き枕を持ってきて寝るようになった。

思ったよりもソファーでぐっすり眠れたこともあり、私服やメイク道具なども部屋から持って降りてソファー周りを別荘にしてしまった。

 サモちゃんには、実家でゆっくり過ごしているのを邪魔したくなくて、極力私から何かLINEを送ることはしないようにした。サモちゃんからも特に何も送られてはこなかったので、多分私と同じような気持ちでいるのだろう。便りがないのは元気なしるしだ。

 だが、大晦日の夜一人で年末特番をぼんやりと見ているうちに、ふとサモちゃんの声が聴きたくなった。

 気付いたら、スマホに手を伸ばしてサモちゃんに電話をかけていた。

 もし彼が電話に出なかったら寝てると思って潔く諦めよう。そう考えていると三コール程度でサモちゃんは電話に出てくれた。

 「あっ、もしもし。サモちゃん?」

 「おねーさんどうしたの?」

 スマホのスピーカーから、聞き慣れたサモちゃんの声が響いて私はホッと息をついた。

 耳を澄ましてみると、誰かの笑い声も聞こえてくる。

 「今電話して大丈夫?」

 「うん、親と親戚が酒盛り始めたから適当な理由言って部屋に戻ろうかなって思ってたところ。ごめん、うるさかったよね。ちょっと待ってて」

 電話の向こうから「お父さん、少し足どけて。ありがと、じゃあおやすみ」という声が聞こえた後、しばらく音が聞こえなかったが

 「お待たせ。自分の部屋に帰ってきたよ」

 と、またサモちゃんの声が耳に届いた。

 「どうしてるかなって思って電話しちゃった。家族水入らずのところごめんね」

 「ううん、むしろタイミングが良かったよ」

 そう言ったサモちゃんの声は普段一緒に過ごしている時と同じように明るかった。なんだか、無性にそれが嬉しかった。

 ただ、電話特有の少しこもったような聞こえ方のせいで、電話で話さないといけない位の物理的な距離があることを嫌でも思い知らされた。

 「実家はどう? 楽しい?」

 せっかくのんびり過ごしているであろうサモちゃんを心配させたら元も子もない。気持ちを悟らせまいと私も明るく振舞った。

 「それなりかなあ。今日は年越しそば食べたりお節出して食べたりしたよ」

 「おっ、年末年始っぽい。お節は家族みんなで作ったの?」

 「ううん、デパートのお節。僕の親そこまで料理が得意ってわけじゃないんだ」

 サモちゃんは少し残念そうに言った。料理が好きな人の親だからと言って必ずしも同じように得意ではないようだ。

 「サモちゃんの料理好きは趣味に近いものなのかもね」

 「そうだと思う。久しぶりに帰ったけど外食で連れ出されることが多かったし。僕がご飯を作ろうとしても『今くらい親に任せなさい』なんて言われて止められるし、ちょっと疲れてるかも。こうなるんだったら今年は帰らずにおねーさんと年越しした方が良かったかな」

 サモちゃんの声が弱々しくなるにつれ「帰っておいでよ」と言いたくなるのをぐっと堪えた。

 「三が日が過ぎたら戻ってくるんでしょ? 私も、こんなに長い間サモちゃんがいないのって変な感じするけど。ひとまず元気に帰ってきたらそれで良いから」

 「うん、ありがとう。あっ、お土産はもう何個か買っておいたよ。クッキーとか色々。僕の家の近くにあるケーキ屋ので美味しいんだ。他にも余裕があったら別の物も見ておくよ」

 ケーキ屋と聞くと、クリスマスのことを思い出して一瞬ドキッとしてしまった。多分面と向かって会話してたら表情に出ていた。

 「ありがとう。それ聞いたら楽しみになってきた。じゃあお土産食べながら実家で何してたか色々聞かせてほしいな。その時はお茶淹れるし」

 「分かった。そういえばおねーさんの淹れるお茶ってなんだか美味しいけど、もしかして資格とか持ってるの?」

 「ううん、単に学生時代にお茶に凝ってた時があったから。その時に色々覚えた」

 「だから家に色んなお茶の葉っぱがあるんだね。おねーさんのその特技凄いと思う。おかげで僕も美味しいお茶が飲めてるし」

 純粋に褒めてくれるサモちゃんの声が心地良く耳に響いた。

 「ありがとう。まあサモちゃんには教えてなかったからね。知ってるのも彩ちゃんくらいだし……あっ、サモちゃんそろそろ年が明けるよ」

 話しているうちにだいぶ時間が過ぎていたようだ。ふとリビングの壁にかけた電波時計に目を向けると、日付が変わるまであと数分だった。

 「あっ、本当だ。そういえば話は全然違うんだけどね、一年って分単位に換算すると五十二万五千六百分なんだって。前に大学の授業で見た映画でそう言ってた」

 「へぇー知らなかったよ。なんか気が遠くなりそうだね」

 「うん、今年はそんな時間の中で割と早いタイミングでおねーさんに会えたことは僕にとってもすごく良いことだったよ。前おねーさんが言ってたこととニュアンスは似てるけどね」

 電話の向こうから、少し照れたような、それでもまっすぐなサモちゃんの声が小さな笑い声と一緒に伝わってきた。

 なんだか、エアコンを入れてもまだ少し肌寒く感じていた体が内側から温まるような気がした。

 私自身もこの一年間は彼との出会いに関して感謝することが多かった。一緒に過ごしているうちに気の合う相手となら二人でいるのも悪くないと思えるようになったし、ある意味成長しただろう。

 「色々あったけど、お互い一緒に暮らせて良かったね」

 サモちゃんにそう言いながら、今年一年であった些細な出来事や割と大きな出来事まで思い出しながら私は少しだけしんみりしていた。

 「うん。……あのね、僕おねーさんに言いたいことがあるんだ」

 言葉を詰まらせながらサモちゃんは言った。

 「えっ、何だろう。お弁当箱は帰ってきたらすぐ流しに持って来いとか?」

 「次から是非ともそうしてほしいけどそれじゃないよ。……僕たち、来年の春まで一緒に暮らすって言ったでしょ」

 「うん」

 「あれ春までじゃなくてそれ以降も一緒に暮らしたいんだ」

 多分一緒に暮らし始めた頃の私だったらサモちゃんの言葉の意図をくみ取れずにいただろう。だが、二人で住んでいるうちにサモちゃんの内面に触れ続けた上、何度も自分自身の気持ちやサモちゃんの気持ちを考えていた今の私なら、サモちゃんの言いたいことがハッキリ分かってしまった。

 私が何も言えないでいるとサモちゃんは続けて言った。

 「面と向かって言わないのは少しズルいかもしれないけど、僕はおねーさんが好きです。春からはお試しじゃなくて正式に付き合いたいです」

 耳に響く熱を帯びたサモちゃんの声から、私に対する好意が伝わってきた。だが、他人から自分に対する好意をここまではっきりぶつけられることなんて今までなかったから、羽でくすぐられたような気持ちになり、へなへなとソファーに崩れ落ちてしまった。

 しばらくスマホを耳にあてたままぼんやりしていたが「おねーさん?」と不安そうな声が聞こえてきた。

 「大丈夫、ちゃんと全部聞いてた」

 かろうじて蚊の鳴くような声で返事をしたが、なんだか血が沸騰してるみたいに体は熱いし心臓の音がうるさい。

 「僕は本気だから。おねーさんも出来れば答えを決めてほしいんだ」

 「うん……春までに、ちゃんと答えを出します。それまでヤキモキさせるかもしれないけど、もう少しだけ待っててもらっても良い?」

 「大丈夫。おねーさん相手なら待つのも嫌じゃないし。……あっ、色々話してるうちに年が明けてた。おねーさん、明けましておめでとう」

 「うん、明けましておめでとう」

 その後は、しばらくお互いに取り留めのないことを話して電話を切った。

 ソファーに横になって目を閉じても、私に好きと言ってきたサモちゃんの声が頭の中でリフレインして中々眠りにつけなかった。

 結局、私が目を覚ましたのは初日の出の登り切った昼過ぎだった。

 元旦と翌日が休みなのが救いだ。このままダラダラと暖かい布団の中で寝正月を決め込んでやろうかとも思ったが、サモちゃんに「人として好き」と言われていたのに自堕落に過ごすのはいかがなものか。

 まだ体に残る重たい眠気と包み込むような暖かさの布団の誘惑をどうにか跳ね除けた。

 「寒い寒い」と体を震わせつつ、今年は少しずつだけど自炊もしてみようとキッチンへ向かった。

 サモちゃんは常備菜の他に、日持ちする玉子なんかも冷蔵庫に残してくれていたので自炊が苦手になる原因になったチャーハン作りをリベンジすることにした。

 サモちゃんに何度か料理は教わっているから、以前よりは具の切り方も上達している。ネギを切ってもパーティーのつるし飾りみたいに繋がってない。

 お米を研ぐのが面倒だったのもあり、サモちゃんが冷凍保存していたご飯をレンジで解凍して使うことにした。

 かつてヒモチャーハンを作ったとはいえ、調理手順はしっかり覚えていた。

 焦がさないように注意して作ったからか、我ながら悪くない仕上がりのものが出来た気がする。

 多めに作ったし夕飯も同じで良いか。綺麗にもりつけたそれをサモちゃんに見てもらおうかと思ったが、昨日告白をされた手前、若干連絡が取りにくい。サモちゃんからも、特に何も送られてきてない。

 それよりも、熱々のチャーハンを目の前にして食べずに写真を撮るなんて私らしくもない。そう思っていたら、お腹が大きくなったので苦笑いしつつ両手を合わせてもくもくとチャーハンを口に運んだ。

 「あと二日で帰ってくるし、その時に上手く出来たって話せば良いか」

 ほぼ食べ終わりのチャーハンの写真を撮った後呟いた言葉は、一人ぼっちのダイニングの中でやけに大きく響いた。





 一月二日は、玄関チャイムが鳴る音で目が覚めた。インターホンに出ると宅急便だった。

 何を頼んだか思い出せないままパジャマの上からコートを羽織った。

 ドアを開けると、十二月の初めに予約をしていた紅茶や日本茶の福箱がまとめてやってきた。

 そういえば、初売りのためだけに外に出たくなくて予約注文していたのを思い出した。

 ソファーに戻り、まだ温もりの残る布団の中で箱を開けて中身を確認した。普段なら中々買わないフレーバーのものや、少し値段の張るものがいくつも入っているのでこれは買って正解だ。

 ゴロゴロしながら店を広げていたので、だんだん眠くなってきた。

試してみたい茶葉もあるし、二度寝から覚めたらお湯を沸かして飲み比べをしてみよう。その後で片付けよう。そう思いながら、私は抱き枕を抱えてもう一度眠りに落ちた。

 どの位眠っていたかは分からないが、微睡みの中で聞き慣れた低めの声で「起きて」と声が響いた。

 しぶしぶ目を開けて体を起こすと、目の前にサモちゃんが立っている。

 サモちゃんが帰ってくるのは明日だからこれは夢だろう。我ながら都合の良い夢だと少し笑ってしまった。

 「あー、サモちゃん」

 「おねーさん、こんなにお茶の袋広げてお茶屋さんでも始めるの?」

 「んー……? お茶の福箱が届いたから中身を見てただけだよ。サモちゃんも飲むかなって思って色々頼んでみた」

 「ありがとう。じゃあ、ごちそうになります。僕が帰って来るまでずっとソファーで寝てたの? 体痛くなってない?」

 話ながらも、サモちゃんは私が広げに広げまくったお茶の袋を一か所に綺麗にまとめている。

 おお、夢なのにサモちゃんの行動が現実に忠実だ。

 「片付けありがとう。案外ソファーでも気持ち良く眠れたよ。……なんかね、家の中が一人だと静かすぎて寂しかったからテレビのタイマー機能を設定して寝たりしてた。サモちゃん一人いないだけでもだいぶ違うんだなってびっくりしたよ」

サモちゃんは私の答えを聞いて、片付けている手が止まった。なんとも言えない顔をしているが、どことなく嬉しそうにも見える。

 「寂しくさせてごめんね」

 「今はサモちゃんがいるから良いよ」

 私はそう言って両手を広げた。

 「ほら、外は寒かったでしょ。さっきまで布団に入ってたし良い感じの湯たんぽになってるよ、私」

 「そういうことなら」

 サモちゃんは上着も脱がずに私をぎゅっと抱きしめた。

 サモちゃんの洗い立てのシャツの匂いに混じって、冬の冷たい空気の匂いがする。

 私の夢はカラーの時とモノクロの時が半々くらいなのに、今日の夢は総天然色フルカラーだ。

 しかも五感にまで影響があるなんて贅沢な気がする。これがお正月の初夢効果か。

 サモちゃんの体温を感じているうちに、膜が張っていたようにぼんやりしていた意識が徐々にクリアになってきた。

 目が覚めてきても、私が散らかしたお茶の袋は一か所にきちんとまとまっている。

 しかも、サモちゃんはまだ私を抱きしめている。

 夢にしてはやたら都合が良いと思っていたが、これはまさか、現実ではないか?

 「サモちゃんサモちゃん」

 「なあに?」

 「明日帰ってくるはずのサモちゃんが、家にいるのは夢ということで良いですか?」

 おそるおそるサモちゃんに問いかけた。

 サモちゃんがいなくて寂しいなんて、夢だと思ったから口に出てしまった言葉だ。どうか夢であってほしい。

 サモちゃんは名残惜しそうに私から体を離したが、いたずらっぽくニッと笑った。 それはまるでこれから飼い主が困る事をするぞと宣言する犬みたいだった。

 「夢って言ってあげたいんだけどね、おねーさんに早く会いたいなって思った僕が新幹線の切符を一日早い分で取ったって言ったらどうする?」

 「嬉しい、けど……」

 「けど、なあに?」

 「大変寝ぼけていましたので恥ずかしいですね。ここは一つ、忘れてもらうことは出来ませんか?」

 現実だと分かると背中に冷や汗が一筋垂れた気がする。寝起きは何度か見られたことはあるが、自分の本音を口に出してしまったことに加え、パジャマ一枚という無防備な格好なのがさらに恥ずかしいのだ。

 サモちゃんは私の要望に対して「忘れません。寝ぼけたおねーさん可愛いし、パジャマとかレアだし」と言って、もう一度ぎゅっと抱きついてきた。

 私を抱きしめながら「おねーさんに会えなくて寂しかったのは僕も同じだし、もう少しこうしていたい」と言ってくるので突き放すことも出来ない。

 「好きなだけこうしていて良いよ」と、ついぎゅうぎゅう抱きついてくるのを許していた。

 事実、私も寂しかったわけだし。自分の行動を肯定してやりながら、サモちゃんのフワフワした髪をわしゃわしゃと撫でた。

 「そうだ、サモちゃんおかえり」

 私から体を離して満足げにしていたサモちゃんに向けて言う。

 サモちゃんがいる日常。一年前までは考えもしなかった当たり前が、私の元に戻って来てくれたのが嬉しかった。

 「ただいま、おねーさん」

 サモちゃんも幸せそうに顔をほころばせた。

 サモちゃんがお土産を色々と出している間に、私物の片付けと着替えのために部屋に戻った。

 リビングに戻ってきた私を見て「パジャマのままでも良かったのに」とサモちゃんは残念そうにした。

 「私が恥ずかしいから嫌なの。そういえば、、ご両親も今日帰るって知ってたの?」

 ゴソゴソとサモちゃんの買ってきてくれたお土産を漁りながら訊いた。

 「うん、おねーさんとの電話を切った後、すぐに帰る日早めるねって言ってオーケー貰ったんだ」

 「へえ、そんなに早く帰りたかったの?」

 クッキーの詰め合わせを見ながら、今日届いたお茶で会いそうな組み合わせを考えつつ何の気なしに聞いた。

 「好きな人に早く会いたいって思うのは悪いことかな?」

 サモちゃんがサラッとそういうので、クッキーを開けて食べようとした私は、お地蔵様みたいに固まってしまった。

 サモちゃん、電話で言うだけだと思っていたが、まさか面と向かっても言うのか。

あまりにもナチュラルに言うから少し驚いてしまった。

 私が何も言えないでいると、サモちゃんは私のことをじっと見つめて「何か答えて」と言いたげだ。

 経験値が極端に足りない頭を絞って「別に悪いことではないと思うよ。大事に想ってる人がいるってことだし」と答えると、サモちゃんはホッと息をついて笑った。

 「それ、おねーさんに言われてホッとした……良かった」

 サモちゃんの笑顔を見てハッとした。サモちゃんはいつからか分からないが、私のことを好きになってくれて、ずっと気持ちを注いでくれていたのだろう。

 それなのに、私は耐性がないだとか経験が少ないなんて言葉で殻に籠ってサモちゃんから向けられる気持ちに鈍くなっていた。そう考えると、自分が情けなくなってくる。

 どんどん気持ちが沈んでいく中で「おねーさん、初詣ってもう行った?」とサモちゃんの穏やかな口調で質問されて現実に引き戻された。

 「ううん、まだ行ってない」

 「じゃあこの後少ししたら行かない? 実家でも家族で初詣に行ったけど、今僕がメインで住んでるのはこの地域だし。こっちの神様にもご挨拶しとこうかなって」

ここ数年、神社にお参りすら行ってなかった上に暗い気持ちになっていた私にとって、サモちゃんの一言はまばゆかった。

 「サモちゃんって捻くれることもなく真っすぐにそだったんだろうなって今の一言を聞いて思ったよ」

 「あー……半分くらいはおねーさんと二人で出かけたいなって思って誘ったってのもあるし、そこまで立派じゃないかも」

 サモちゃんは少し恥ずかし気に言いながら笑った。

 彼の笑顔は、窓から差す光に照らされてキラキラして見えた。





 神社の場所はサモちゃんが事前に調べてくれていた。

 私が通勤に使っている最寄り駅とは正反対の位置にモノレールの駅があり、そこに向かう途中に神社があると教えてもらった。場所的には、夏祭りでエマノンが出店したグラウンドの手前だそうだ。

 ぬくぬくとした家の中とは違い、外は肌を刺すような冷たい空気に包まれていた。

 空もライトグレーの雲に覆われているから、いつ雪が降ってもおかしくはない。

 玄関の鍵をしめて、手袋を着けだした私に「おねーさん待って」と先に外に出ていたサモちゃんが戻ってきた。

 「どうしたの、忘れ物?」

 「ううん、おねーさんの手はこっち」そのまま手袋をつけていない私の左手はサモちゃんのコートの右ポケットに収納された。

 サモちゃんを見上げると満足そうに笑っている。

 「サモちゃん、これ歩きにくくない? 平気?」

 「大丈夫だよ。手を繋いで歩くのに近いと思うし」

 そういう意味で言ったわけではないのだが、本人がこれで良いと言ってるなら良しとしよう。サモちゃんのポケットの中はポカポカしていて案外悪くないし。

 サモちゃんは背が高くて脚も長い分歩くのは速い。だが、今日はポケットに私の手を入れて歩いているので私の歩調に合わせてくれた。

 ちょっと二人三脚みたいで申し訳ない気もするが、私がサモちゃんに合わせると足がもつれて一緒に転んでしまいそうなので彼の優しさに甘えることにした。

 神社は、よくテレビで紹介されているような大きなものではなかったが、あちこち掃除も行き届いている。参拝を終えた人たちの和やかな表情を見ただけでも、昔から この地域の人に親しまれている場所だと伝わってきた。

 石畳の階段を下りて参道を通り、拝殿に向かうような造りの神社になっていたが、私たちと同じように初詣に来た参拝客がずらりと並んでいた。

 参道の両端には屋台もいくつか並んでいるので、さながら小さな縁日みたいになっている。

 「思ってたより人が多いし、夜に出直す?」

 サモちゃんは人混みを見て気落ちしていたが、夜はもっと冷えるだろうし参拝客の人数も増えそうだ。このまま並んでいた方が良い気がする。

 「私、こういう時のためにスマホに映画ダウンロードしてきたよ。良かったら一緒に観る?」

 「わぁ、これ僕も観たかった映画だ。おねーさんありがとう」

 「いやあ、本当のことを言うと観たいなって思った映画をダウンロードしてただけなんだけどね。サモちゃん、イヤホン共有するのって平気な人?」

 「うん、だけどおねーさんの方がそういうの苦手じゃないの?」

カバンの中からイヤホンを取り出した私にサモちゃんは心配そうに尋ねた。

 「他の人とだったらちょっと抵抗あるんだけどね。でもサモちゃんだったら良いかなって」

 イヤホンジャックにイヤホンを差し込みながらそう言うと、サモちゃんはニコニコしだした。

 「なんか嬉しいな」

 「まぁサモちゃんが家にいる時に私のこと抱きかかえたりするから慣れたってのもあるのかも」

 私がそう言ってもサモちゃんはご機嫌な顔を崩さなかった。

 映画を観始めたが、参拝客は私が思っていた以上に進みが遅い。

 映画が終盤に差し掛かる頃、サモちゃんの横顔を時々盗み見した。サモちゃんはスマホの小さな画面の中で繰り広げられる激しいアクションから目を離さない。

 実家から帰ってきたサモちゃんは基本的に普段通り私に接してくれている。きっと私のことだからイレギュラーなことをされすぎると動揺してしまうだろうし、今はこの距離感でいられることがありがたい。

 盗み見のつもりでいたが、じっと見ていたようでサモちゃんと目が合ってしまった。

 サモちゃんはイヤホンを外して「どうしたの?」とふわりと目を細めた。

 「なんでもないよ」

 「なんだ。お腹空いたって言われると思った」

 サモちゃんの中の私はどれだけ食い意地が張ってるんだ。ちょっと気が抜けてしまった。

 「そういうこと言われると本当にお腹空いてきたんだけど。朝も特に何も食べてないし」

 「そうだったの? じゃあ家出る前におもちでも焼けばよかったかな。ごめんね」

 「良いよ良いよ。二度寝して食べるタイミング逃した私が悪いんだし。……でもお参りが終わったら終わったら屋台で何か買いたいんだけど、駄目かな?」

 おおよそ十時間以上何も食べていないすきっ腹には湯気と一緒に漂う香ばしいソースの匂いやカステラを焼く甘い香りは暴力そのものだった。やっぱり私は食い意地が張っている。

 「じゃあ焼きそばとか食べようか。もうちょっとだけ頑張ってね」

 サモちゃんは笑いながら私の髪を描くる撫でた。





 「おいしい……今私は生きてるって実感してる……」

 「そんなに飢えてたの? おねーさん喉に詰まらせないでね」

 ベビーカステラの大袋を大事そうに抱えたサモちゃんは私が必死な形相で焼きそばをすする姿を見て軽く吹き出した。

 焼きそばはやたらキャベツばかりで麺も少し柔らかかったが、腹ペコの私には十分すぎるごちそうだ。

 「思ってた以上にお腹空いてたみたい。あっ、もちろんサモちゃんが作ってくれる焼きそばの方が美味しいよ」

 「ありがとう。ベビーカステラも食べる?」

 「いります下さい」

 お参りを終えた私たちは他の参拝客の邪魔にならないように参道の入り口付近に寄って屋台で買ったものを食べていた。

 お参りに並び始めた参拝客が「おっ、焼きそば」なんて言いながら通り過ぎていったから一種の宣伝にもなっているようだ。

 「そういえばサモちゃんはどんな願掛けしたの?」

 完食した焼きそばのパックと割り箸を、神社が用意したゴミ箱に捨てながら訊いた。

 サモちゃんは少し照れながら「来年もおねーさんと一緒に初詣に行けますように。ってお願いしたよ」と言った。

 あまりにも真っすぐすぎる願い事を聞いてしまい私は少し面食らった。

 「今日は朝からちょいちょいそういうこと言ってくるね」

 「だっておねーさんのこと好きって伝えてるわけだし、言わないでいるのはもったいないなって。駄目かな」

 「駄目とは言わないけど、もしかして君は今後も日常会話にサラッと好きって混ぜてくるの?」

 「うん」

 サモちゃんは当たり前だと言いたげだ。

 このままでは、私の心臓は春まで持たないかもしれない。

 「お手柔らかにお願いします。私今までこういうこと無かったから」

 「分かった。でも好きだなって思ったところがあればどんどん言ってくからね」

 サモちゃんはニッと笑って言った。

 ひたむきに注がれるサモちゃんの気持ちをなるべく無下にはしたくないと思った。

 「返事に関しては、もう少し待っててください……」

 「単に僕が好きって言いたいだけだから気にしないで? あっ、でも付き合いたいからやっぱり気にして」

 「好きって言われてからかなり意識はしてるよ……やっぱり忘れて!」

 「嬉しいし絶対忘れない」

 私が「意識してる」と言っただけでサモちゃんは今日一番の笑顔を見せている。

 「今の困った顔してるおねーさんも好きだよ」

 「サモちゃんはSか!」

 「知らない。でもそうだとしてもおねーさん限定だと思うな」

 私をからかうようにニコニコしながら言うサモちゃんはタチが悪いと思う。

 釈然としない顔をし出した私の手をサモちゃんがそっと掴んだ。

 「このままここに居ても冷えてくると思うし、そろそろ帰る?」

 サモちゃんはまた私の手をポケットにしまおうとしている。

 いつか、サモちゃんの気持ちが季節のように移り変わったとしても今この瞬間は私を好きでいてくれることは確かだ。なんとなくそれが嬉しくて、もう少しだけワガママに付き合ってもらいたくなった。

 「おみくじ引いてから帰ろうよ」

 「そういえば引いてなかったね、行こっか。そういえばおねーさんは何をお願いしたの?」

 「んー内緒」

 「僕は教えたのになー。じゃあ、いつか気が向いたら教えて?」

 サモちゃんはふわりと笑うと私の手を引いて社務所に向かった。

 私はねサモちゃん、隣で真剣な顔をして願掛けをしていた君の幸せを祈ったんだよ。

 私はサモちゃんにそっと手を絡めて歩き出した。





 「おねーさん、そんなに気を落とさないでよ。凶じゃなかったんだし」

 「サモちゃんが大吉引いた後だし、末吉って結果が微妙な感じがするよ」

 お互いの引いたおみくじを交換して、結果を見ながら帰り道を歩いた。

 サモちゃんの引いた大吉のそれと比べると、私の結果はパッとしないものだった。

 「相場、売り買いともに損……ってロクなこと書いてないから見た瞬間笑っちゃったよ。まあ、株とかやってるわけじゃないから良いんだけどさ」

 他にも勝負事は勝っても難ありだとか転居は急ぐなだとか中々ガッカリすることが多く書いてあった。

 「あっ、でも見て? 願い事は『叶う。驚くことあり』だって。おねーさんの今年の運勢、悪いことばっかりじゃないよ」

 サモちゃんが私のおみくじをいくつか指差した。

 たしかに、失せものは近くにあるだとか割と良いことも書いてある。

 「本当だ。しかしまあ、サモちゃんのおみくじは良いことばっかり書いてあるの凄いと思うよ」

 「僕にとって嬉しいことが色々書いてあったから引いて良かったよ」

 サモちゃんのおみくじの文面はかなりポジティブな内容が多い。

 もう一度サモちゃんの引いたそれをじっくり読み直してみた。

 『恋愛 今の人が吉』と書いてあるのを見て、サモちゃんの意図を察した。

 私は「良かったね」と気付かないフリをして、笑っておみくじを返した。

 「帰ったらお茶淹れるよ。サモちゃんが買ってきてくれたお土産も食べたいし」

 「ありがとう。一番食べてほしいやつ準備するよ」

 話しながら歩く私たちの吐く息は白い。気が付けば、真っ白な雪が降り始めた。

 私たちが家に帰ってからも雪は降り続き、夜には周りがすっかり雪で覆われてしまった。それ以降、時々雪が降る日が続いた。





 サモちゃんは宣言した通り、時折私に不意打ちで好きだと行ってくるようになった。

 それこそ「寝癖が可愛くて好き」だの「今日のメイクが似合っていて綺麗で好き」だの何がサモちゃんの琴線に触れるのか分からないので、いつ好きと言われるか予測もつかない。

 彩ちゃんにこっそり相談しても「今まで言われなかった分をもらってるんだよ。あとはどう応えるかだと思うよ」と言われるだけだった。

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