第16話兄を愛する妹の狂気2

生まれた瞬間より、私は隔離された。

理由は、母の不徳。それにより怒った父様が追い出した。

でも、こっそりと聞いたことがある。

本当は、母様は悪くない。

父様がいない間に襲われて、その弁解も聞かず父様が殺した。

それを聞いた時はショックだったけれど、今は何とも思わない。

だって、殺されない理由は母の子だから。

家督こそ男子が継ぐが、その家が栄えるかの有無は女性が決めるといっても過言じゃなかった。

嫁を貰って子供が増えれば、家が途絶えない。

嫁を出してつながりが増えれば、困ることはない。

普通は長男がいれば問題ないように思えるが、この家は長女も長男と同じくらい重宝された。

男が不作だった時には女が婿を取る。

母様はこの家の子で、父様は婿。

だから、しょうがない。

家がどうしてもだめになったとき用に残されているんだろうと…


15になり、はじめて母屋に通された。

隔離されて生かされてきた私は、格子越しでない空を見ることも初めてだった。

黒い影が刺さない空は、想像よりも大したことはなかった。

過剰な期待だった、と肩を落とした。

「君様、主様が御待ちです。お急ぎください」

慣れない着物に足もとがうまく運ばなかった。

いつもは、軽い襦袢だけで過ごしていた。

胴を締め付ける帯が息苦しい。

床張りではなく、畳の広い部屋に通された

ここの人はあの冷たい床で針仕事ができないほどに冷え込むことなどないのだろう。

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