第15話兄を愛する妹の狂気1
小さい頃から芽生えてきていた狂気。
狂喜に変えることもできず、私はその身をすべてだと受け止めてきた。
血のつながった兄を愛するという行為は、表に出せば家がつぶれるほどの不始末だった。
幼いころから私は隔離されて生かされた。
それは、家唯一の女子だったからなのかもしれない。
家督こそ男子が継ぐが、その家が栄えるかの有無は女性が決めるといっても過言じゃなかった。
嫁を貰って子供が増えれば、家が途絶えない。
嫁を出してつながりが増えれば、困ることはない。
普通は長男がいれば問題ないように思えるが、この家は長女も長男と同じくらい重宝された。
重宝される理由は、男よりも女のが丈夫だからだ。
男が不作だった時には女が婿を取る。
結局は代替品なんだけれど。
これが私の家。
結局両方いれば、どうにでも動くってことなんだろう。と私は思っていた。
15になり、はじめて母屋に通された。
隔離されて生かされてきた私は、格子越しでない空を見ることも初めてだった。
黒い影が刺さない空は、想像よりも大したことはなかった。
過剰な期待だった、と肩を落とした。
「君様、主様が御待ちです。お急ぎください」
慣れない着物に足もとがうまく運ばなかった。
いつもは、軽い襦袢だけで過ごしていた。
胴を締め付ける帯が息苦しい。
床張りではなく、畳の広い部屋に通された
ここの人はあの冷たい床で針仕事すらできないほどに冷え込むことなどないのだろう。
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