第13話微5

落ち着いたところで、俺はこいつとの意思疎通を図ることにした。

事情を知らなければ、どうしてやることもできないと考えた。

「いいか、今から俺が言うことにうなずくか、首を振るかで答えてくれ」

紙を用意する。

整理しないとわからないことがこいつから出てきた場合、頭がこんがらないようにするためだ。

「もう一回、確認するな。おまえはしゃべれないんだよな。」

コクン

「言葉がわからないのではなくて、声が出ない」

コクン

「俺の言葉がわかるってことは、日本語は理解できてる」

コクン

「シャワーの浴び方はわからなかった」

コクン

「さっき食べたのはおいしかった?」

コクン

「洋服の着方はわかる」

コクン

うーむ。

これだと、しゃべれないこと以外大して問題じゃないな。

わからないことは、あるだろうけど、いままでの行動みるとわからないものは触らないタイプみたいだし。

家の中にいても、問題を起こすことはなさそうだ。

あとは、こいつが今までいた環境。

「おまえは、親がいるか?」

コクン

「殴ったりされてた」

ここで俺はちょっと、驚いた。

首を振ったからだ。

たしかに、見える部分にあざなんかはない。

根性焼きみたいな跡もなかった。

じゃあ、さっき、俺の手にみせた怯えはなんだったんだろう。

「しゃべれない原因は親」

コクン

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