第12話 白い少女

 アルは木に手を付き、そのまま崩れるようにして膝を付いた。


 逃走を諦めたからではない。もう自分を追ってくるものがいないと悟った上での、ようやく訪れた休息だった。


「ね。ぼくの言う通り、だいじょうぶだったでしょ?」

 少女の声が届く。アルはそれに答える余裕はなかった。


 一歩間違えれば死んでしまう綱渡り状態での逃走劇を、時間を確かめる余裕すらないほどに続けていたのだ。疲労が一気に押し寄せてきていた。足は両方とも限界を示すように痙攣していた。喉はまるでカエルのように低い音を立てていた。その激しさに嘔吐感すら刺激される。気が付けば。胃の中のものを木の根元に向けて吐き出していた。


「……えと、だいじょうぶ? ほんとにだいじょうぶだよね?」

 そんなアルの様子を心配したのか、少女の声が探るようなものになった。


 まだ返事をする余裕はなく、すぐには何も返せなかった。しばらくして右手を掲げて大丈夫だと示す。


 ようやく体が落ち着いてきたのを感じ取り、アルは腰に下げていた水筒を取り出した。栓を抜き、それを一気に頭からかぶる。決して冷たくはなかったが、体の熱が引いていくようで、気持ちが良かった。僅かに残った水は喉を潤すことに使った。そこまでしてやっと、アルは腰を下ろした。


 魔獣と対峙してからここに至るまでの逃走劇は、結果だけを思い返せば非常にスムーズだった。そう、あくまでも結果だけ見れば、だ。その途中を振り返れば、アルは疑問を抱かざるを得ない。


 逃走に使ったルートは、一言で行ってしまえば無茶苦茶だった。理屈もなにも感じられない。敢えて高い段差を登ったり、遠回りをしたり、時には逆走し、身を隠したり。中には途中で木を蹴飛ばすなどという指示すらあった。地理を把握しているアルにしてみても決して思いつかないものばかりだったのだ。


 しかし、それがこうして結果を出している以上、アルには何も言えない。自分には見えていない何かが、声の持ち主には見えているのだろうと、そう結論を出す他なかった。


 また、そう考えると、自分ではない誰かの声――こうして自分に話しかけてくれている少女の声が、これ以上ないほどに自分を助けてくれていたのだと実感した。きっと、この助けがなければ、自分はあの魔獣に殺されていただろうと確信ができるほどに。 


「ええと、きみ、ほんとにだいじょうぶ? なんだかマナのめぐりがものすごく悪いんだけど……。ま、まぁ、あの悪いマナのでっかいのは完全に引き離したし、ちっこいのも全然いないし、ここは安全だよ。だから、ゆっくり休んだ方がいいよ」


 次第に落ち着いてきたアルは、自分が吐き出したものを避けるようにして、木の幹に背中を預けた。そこでようやく、アルは目の前にいる人物に気が付いた。


「え……?」

「あれ? 声だけじゃなくてぼくの姿も見えるの? え、ほんと? 嘘じゃないよね?」


 アルはこくりと頷いた。


 そこに立って――はいない、浮いていたのは、白い少女だった。頭のてっぺんから、身を包む質素なワンピースを経て、足の先まで全てが白かった。ふわふわとした白く長い髪も彼女の背中に大きく広がっている。宙に浮かぶ姿は、まるで御伽噺で見る天使のようにも見えた。


「きみ……が、俺を助けてくれたんだよな」

「え。うん、そうだよ」


「ありがとう」


 アルは真っ直ぐ見上げるようにして、素直にそう言った。正直に言えば、目の前に存在する少女の姿があまりにも不思議で、同時に神々しさすらあって、何を言えばいいか分からなくなったため、とりあえず口にしただけだった。


「ええと、いやその、なんだかそう言われちゃうと、照れちゃうよね。えへへぇ」


 しかし、その言葉は少女にとって非常に効果があったようだった。彼女は身体をくねくねと揺らして全身で照れを表現していた。ここまで反応があると面白い、とアルも素直に思う。


 そこでアルは改めて彼女を見た。


 全てが白い少女。ずっと聞いていた声もそうだったが、顔立ちにも幼さは見える。身長も高くはない。妹のシェンナと同じぐらいだろうか。もしかすると年齢も同じぐらいなのかもしれない。


「あ、そうだっ! そうじゃない。いやそうだった!」


 少女は思い出したかのようにそう言うと、アルに近寄ってくる。宙を歩くわけではなく、まるで滑るように向かってくるのは、体験したことがあるわけがなく、アルは改めて驚いた。その上で、額と額がくっつくほどに少女は近づいてくる。


「ちょ、ちょっと!? 近いよ!」

「ね、ぼくのこと見えてるんだよね? ね? ね?」


 目と目が合う。それどころじゃない。少女の姿が見えてるというよりも、近すぎて見えないと言えるほどだった。


「う、うん。見えてる。見えてる! だから、ちょっと離れてくれ!」


 思わずアルはそう叫んでいた。アルは決して女性に対し、耐性がないわけではない。むしろ、家族はシィを含め女性だらけであり、同年代の男子に比べると慣れていると言っていいぐらいだ。だが、それでも、である。


 彼女は幼い容姿をしていながらも、非常に整った、人形のように可愛らしい顔立ちをしていた。そんな女の子に顔がくっつくほど近寄られて平然としていられるほど、さすがにアルは女性慣れしていない。シィとですら、そんな距離になれたことすらないに。


「う、うふふふふふふ、えへへへへへ! やった! やっと、ぼくのこと見えて、話せる人がいたんだ! やったぁ!」


 彼女はアルの考えをよそに、その場で飛び跳ねたり――まさしく文字通り飛んだ――と全身を使って喜びを表していた。結果的に距離を取ってくれたことで、アルはほっと息を吐いた。しかし、休息は一瞬だった。再び彼女は滑り込むようにアルの正面にやってくると、その口を開いた。


「最初はね、きみが危ない目にあってるのを見つけたんだよ。だから、危ないよって、話しかけてたんだ。どーせ他の人みたいに聞こえないんだろうって、最初は期待はしてなかったの。実際、きみは最初反応してくれなかったし。ぼくもそれならいいやって思って離れたし。でもね! ねっ! その後もなんだかきみがきになって見てみたら、また危ない目にあってて。走るのが好きなのかな? ぐらい思っちゃって。で、試しにってもう一回話しかけてみたらね、ぼくの声が聞こえてるみたいに動いてくれてたから! もしかしたら、って! そしたら、本当に聞こえてて、ちゃんと話もできてっ! 嬉しい、やぁっっっと! ぼくと話せるひとを見つけられたんだ。ね、ね、ねっ! きみの名前は何? ぼくはミュセル。ミュセル・メーティスっていうの。きみの名前を教えてよ」


 捲し立てるように話してくる少女――ミュセルに、アルは圧倒された。だが、それが丁度良かったのか、アルは未だ残っていた緊張感という毒気が抜かれ切ったような感覚を覚えた。それを示すように、全身から緊張が抜けていた。思わず、頬の筋肉も緩む。


「ミュセル、って言うのか。俺は、アル。アル・クーベルクだよ」

「アル……うん、アル。きみはアルって言うんだね! えへへ」


 ミュセルは口の中で何度かアルの名前を転がすと、嬉しそうな表情を浮かべてはにかんだ。その様子は、幼かったころの妹の姿を見ているようで微笑ましくなる。


「きみが――ミュセルが、俺を助けてくれたんだよな」

「うん、そうだよ。って、さっきも言ったよね?」


「ああいや、ごめん。言葉が足りてなくて。ずっと、声をかけてくれてたってこと、なんだよな?」

「うん。でもずっとじゃないよ。さっきも言った気がするけどね、ぼくがアルを見てたのは、なんだかアルが走ったりしてる間だけで、話しかけたのもその時だけ。最初は特に、声をかけてみても他の人みたいに反応してくれなかったし、もういいやって諦めちゃったし」

「なるほど……」


 なんとなく、辻褄が合う。アルが何かの声を聞いたような感覚を覚えたのは、クロード達と別れる直前と、魔獣の注意を引いて逃げ出した時の二つだった。他にも感じていたのかもしれないが、少なくとも覚えているのはその二つだ。


 つまり、最初に一人でロッサムへ戻ろうとした時にも、ミュセルは声をかけてくれていたのだ。だが、その時には気づくことができなかった。結果として散々な目に遭い、シィに救われることになった。


 次は記憶にも新しい魔獣との逃走劇だ。最初は声そのものを捉えることはできなかったが、魔獣に追い詰められてからははっきりと聞こえるようになり、そこからはミュセルの指示によって助けられた。


 改めてではあったが、ミュセルの声に大きく助けられていたとアルは実感せざるを得なかった。


「そういえば、どうして俺を見つけたんだ?」

 ふと湧いた疑問を投げかける。しかし、ミュセルの答えは、

「なんとなく?」

 というものだった。


「うぅーん、ほんっとうになんとなくとしか言いようがないんだもん。敢えて言うなら、なんだか、そっちが気になった、っていうのかな。それで、なんとなく意識を向けたら、危ない目にあってるひとがいて。って感じだよ」

「なるほど……」


 これは完全に分からない話だった。どうにもアルには理解の及ばない、ミュセルならではの感知方法があったのだろう。アルはそう思うことにした。結局のところ、そのなんとなくの発見で助けられたのは間違いないのだからだ。


「逃げるときにミュセルが指示をくれただろ。あれはどうやって分かったんだ?」

 切り替えるように、アルは次の疑問を投げた。しかし、それもまた、

「なんとなく」

 という回答が帰ってくる。アルは眉を寄せてしまう。


「あっ、ええとっ。なんとなくはなんとなくでも、説明ができるなんとなくだよこっちは」

 それを見て、ミュセルは慌てたように言った。


「ぼくはね、マナの流れが見えるんだ」

「マナの流れ?」


「うん。マナそのものが見えるとも言うのかな? マナってその場に留まってるわけじゃなくて、ずっと流れているからね」


 それについても、アルは眉間にしわを寄せかける。分かりやすい言葉ではあったが、想像ができない。マナに詳しい魔法使い――例えばセレナのような人物であれば、それは理解できるものなのだろうか。それでも、なんとか理解しようと自分の中で噛み砕く。


「つまり、マナの流れが見えたから、逃げる方向とか、魔物や魔獣が攻撃を仕掛けてくるのが予測できたってこと、なのか?」

「うんうんっ! その通りだよ! アルってすごいね!」

「いや……すごいのはミュセルだよ」


 素直に驚くミュセルに、アルもまた素で答えていた。それはほとんど未来予知のようなものではないか。そのものの理解はできても、その能力の大きさに全貌までは全く理解が及びそうもない。


(いや待てよ。ミュセル自身が、こうした相手じゃないか)


 アルはミュセルを見て、考えに補正を掛けた。空に浮き、自由に飛び回る真っ白な少女。姿も声も、彼女が言うには他の人には見えないし聞こえないらしい。よくよく見れば、体も僅かに透けている。そうした存在自体、アルには理解が及ぶものではない。だから、ミュセルが超常的な力を持っていたとしても、それも不思議ではない。

 そこでふと、新たに疑問が湧き上がってきた。


「ミュセルって、幽霊なのか?」

「え、違うよ?」

 即座に否定された。


「まぁ、似ていると言えば似ているんだけどね。ぼくの体はね、遠くで寝てるんだ」

「寝てる?」


「そう、寝てる。ぼくはマナにすごく近いから、意識だけがマナと一緒に流れているの。この身体も、マナで構築してるんだよ」

「マナ……」


 アルは繰り返されるその単語を呟いていた。


 マナ。


 ひどく単純に言うならば、この世界中どこにでも存在するものであり、魔法を使うために必要なものだ。それらは、生物の中にも、炎の中にも、水の中にも、風の中にも、土の中にも存在している。そうした中に存在するマナは、いわゆる属性と呼ばれる指向性を持つ。アルがレインから渡されたマナ結晶は、そのうちの炎の属性を濃く持つマナが凝縮され結晶化したものだ。魔法使いは、こうしたマナを使い、様々な属性の魔法を扱う。


 というのが、アルの知識だった。魔法を扱えず、周囲にも専門の魔法使いがいなかったアルにとって、この程度の知識をつけるのが精いっぱいだったのだ。


 つまるところ、ミュセルは幽霊ではなく、体は遠くで眠りについていて意識だけがこの場に現れており、今はマナそのものに近しい存在だということらしい――アルの認識ではこれが限界だった。


「分かるような、分からないような。そんな感じだよ」

「えへへ。ぼくにもよく分かってないし、いいと思うよ」


 あっけらかんと幼く笑うミュセルに、アルもつられて笑う。


 何はともあれ、ミュセルのことは概ね分かった。休息も十分だ。


「なあ、ミュセル。もう一つ聞きたいことがあるんだけど、いいか?」

「ん。いいよ。ぼくに答えられることならなーんでも聞いて聞いて」


 ミュセルはそう言って胸を張った。見た目こそシェンナとそう変わらないのに、頼りになる。実績から来る安心感に、アルは気負いかけた心が楽になる。


「あの魔獣の場所は、今でも分かるのか?」

「うん。もちろん。あんなおっきい悪いマナの塊なんて、どこからでも分かるよ」


「じゃあ、その近くまで俺を案内してくれないか?」

「え……えええっ!?」


 ミュセルは文字通り飛んで驚いた。くるりと宙返りを決めたミュセルは、アルの顔近くまで再び滑り込んでくる。アルは静かに位置をずらして、距離を保つ。


「え? あんな目にあってたのに、戻るの? アルってお馬鹿さんなの?」

「いや、馬鹿じゃ……いや馬鹿だな。分かってるよ。危ないってことも、その間一髪のところをミュセルに助けて貰ったってことも」


「そうだよ。ぼくの手助けがなければアルは死んでたんだよ」

「ああ。でも逆に言えば、ミュセルの助けがあれば、あいつとやりあえるってことだろ? まあ、やりあうって言っても、また注意を引いて逃げるだけなんだけどさ」


「ぼくにはその意味が分からないけど……」

 ミュセルの子どもっぽい言い方を聞きながら、アルは空を見上げた。


 穏やかな風が吹いていた。梢が流され、葉が擦れ合う。小さな波が、大きな波へ。それは森が歌っているようでもあった。アルのよく知る、平和な森の姿がここにはあった。


 だが、確かめるのは、太陽の位置だ。木々の枝葉に隠されていて、はっきりとは確認できない。それでも、ある程度は把握できる。


「――まだ、そんなに時間を稼げてないんだ」


 枝葉を透かして見える陽光。木洩れ日の差し込む角度。それらから推察するに、まだ一時間も経っていないだろう。距離にしてみても、山奥に誘導してきたとは言え、決して十分とは言えない。それは、土地勘のアルには分かってしまうものだ。やはり、アルが予想していた通りに、自分の体感は現実より盛られている。


「この時間だとまだ、みんなもロッサムには戻れてない……はずだ。騎士団への要請も先に済ませているとは言っても、まだ時間がかかると思う。特に、あの魔獣の情報があるから、討伐隊を出すにもしっかりと準備を整えてからになるはずだ。だから――まだ、もう少し……せめて、町の住人が避難準備をできるぐらいには、時間を稼ぐ必要がある」

 アルは自分の考えをまとめるようにしながら、言った。


 そして、口にしてみると、それは間違いないように感じられる。


「でも。アルがそれをする必要って、ないでしょ?」

「それは……」


 ミュセルのその言葉は、子供が「なんで?」と問いかけるような、純粋なものだった。アルは言葉に詰まる。更に、ミュセルは続ける。


「あんなの、放っておいて逃げたって、構わないと思うよ。それともアルって、自分で何かをしたいって思うひと?」


「そうじゃ――」

 否定しようとして、言葉が出なかった。ミュセルの言い分は、正しい。

「――そう、かもな。うん……そういう気持ちは、あるよ。俺が、みんなのために何かしたいって。それで、みんなが俺を褒めてくれたら、嬉しくなる」


「ふーん」

「でも、今、俺がやるのが一番早いっていうのも、たぶん間違いない。だったら、俺が動いた方がいい。動けるなら、動きたい。選択肢があって、敢えてやらない方を選ぶのは……そうだな、好きじゃないんだ。なんだか、そうやって切り捨てていったら、目指してるもの――“英雄”になんて、絶対なれないって思うからさ」


「それが、自分の命を危ない目に遭わせるようなことでも?」

「うん」

 アルは即答した。


「でも、死ぬつもりなんてさらさらないぞ。俺は、痛いのも死ぬのも怖いし、絶対嫌だからさ。できるって思ったから、こうやって話してるんだ。ミュセルの手助けがあれば、危ない目には遭うかもしれないけど、それ以上のことにはならないって思えるから」


 言葉にしてみれば、過剰なほどの期待感を、知り合ったばかりのミュセルに抱いているようで、アルは自分で自分が面白くなった。ただ、それだけの貢献をしてくれていると、アルは思わずにはいられないのも事実だ。


 当のミュセルは呆気にとられたかのようにぽかんとしていたが、ややあって笑いだした。


「あははっ。アルは変なひとだね。自分のやりたいことは勝手に言って、でも自分の力が足りないからって、なりふり構わず手助けを求めちゃってさ。結局、大事なところはぼく任せなんだもん。アルが実際に動くって言ったって、ぼくがちゃんとできないとアルが危ない目に遭うってことじゃない。ぼくの責任の方が大きいよ」


 ミュセルは拗ねたように口を尖らせる。


「でも、そこまで言うんなら、分かったよ。どうせ、ぼくもやることなんてないし、アルのお手伝いしたげる」

「ありがとう、ミュセル」


「でも」

「でも?」

「条件がある」


 ミュセルは再びアルの正面まで来て、至近距離から目を合わせてきた。反射的にたじろぎそうになるが、今度は引かずに受け止める。


「俺にできることだったら、やる。まぁ……何でも、とは言わないけど」

「……アルって、そういうところで自分を安売りしないんだね。いや、同じなのかな? まぁいいや。変なことじゃないよ」


「ああ。言ってくれ」

「……」

「……ミュセル?」


 目を合わせたまま、固まったようにミュセルは何も言わない。


「え、えーとね。その、ね」


 その言葉で時間が動き出したかのように、ミュセルが口をもごもごとさせた。目は泳いでいて、白かった頬は少し赤みが差している。


「変なのじゃないよな?」

「ちがうよっ」


 ミュセルは頬を膨らませる。そして、それを吐き出すした。落ち着かせるように、目だけで空を見上げていた。


 ミュセルの体は、マナで構築されていると彼女自身は言った。それでも、そこに在る瞳も、その体も、まるで本物のようだった。周囲に輝く自然の色を映すような、綺麗な瞳だった。


 思えば――白に包まれた彼女の中で、その瞳だけは、色が輝いていた。


「その、ね」


 その瞳が、アルを捉えた。そして、

「ぼくと、友達になってよ」

 恥ずかしそうに、ミュセルが言った。

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