第2章

晴れでも雨でもないはっきりしない天気のある日、私は出版社のオフィスにいた。先日カフェで進めていた原稿のチェックをしてもらいに来たのだ。

「うん、悪くないんじゃないかな」

そう言うのは担当編集長。それに続いて、

「私もなかなか面白い文章で、このまま進めていけたらと思っています」

と教授が言った。私は、ふぅとこっそり胸をなでおろす。実は前回のチェックで酷評を受け、その日の夜はかなり落ち込んでいた。その点今回は、二人にOKを出してもらえそうだ。何日もかけて頭を悩ませた甲斐があった。よし、今日は帰ってキンキンに冷えたビールを飲む…今決めた!と私は話を進めている編集長と教授の話を聞きながら、そんな決意をしていた。

 帰宅したのは18時を過ぎた頃だった。さっき決意した通り、帰路でコンビニに寄りビールを一本と大好きなチーカマを買って帰った。今夜はプチ晩餐、と心を弾ませながら帰った私はウキウキとお風呂を溜め始めた。ビールとチーカマでプチ晩餐をする前にお風呂に入っておけば、あとは飲んで食べて寝るだけだ。お風呂を溜めている間に仕事着から部屋着に着替えていた時、スマホの着信音が鳴った。発信者は大学からの親友である衛藤美咲。

「はーい、もしもし?」

「あ、楓?急にごめんね~」

「うん、大丈夫。どうした?」

私が聞くと、美咲は用件を話し出した。どうやら近々合コンをするらしい。けれど女子枠のあと一つが埋まらず私にお願いをしてきたという。かという私は、合コン経験などない。大学でキャンパスライフを謳歌していた美咲とは正反対に、ただ単位を取ることと少しの楽しい思い出を作ることで精いっぱいだった私に、これまで合コンというキラキラしたものは無縁だった。まあでも、親友のお願いだ。私は人数合わせのため、合コンに参加することにした。そんな電話をしている間にお湯が溜まり、プチ晩餐を楽しみに私はお風呂に入った。

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