第123話 リンガレング、対精神体モード
吹き飛んだ
『やるではないか。わが
またあの声が聞こえてきた。今度こそ、こいつがハムザサールの本体だろう。
俺もリンガレングを
『リンガレング、やっておしまいなさい』
『了解。対象分析の結果、対象を
頼みの綱のリンガレングが何だか動かなくなってしまった。無防備ということは、今度は俺たちがリンガレングを守る番だ。
『返事がないところをみると、やはり死にたいらしいな。生きていようが死んでいようがどちらでもあまり変わらんが、死体を壊さんようにせんとならんのがちと面倒じゃな』
宙に浮かぶハムザサールが独り言なのか俺たちに聞かせたいのか、どうでもいいようなことを長々と
おっと、ヤツの顔の窪んだ目のあたりが紫色に光った。
今のはヤツの攻撃かと思ったのだが、うちの連中には何もなかったようだ。ただ、気持ちが穏やかになったような。はっ! これは、ヤツの精神攻撃か! たまたま俺たちが『闇の眷属』だから効かなかっただけで実はものすごい攻撃だった可能性がある。
『これも効かぬか。死体は
やはり、何らかの攻撃だったようだ。
『トルシェ、
「はい!」
ここは牽制なので
ドドドドドーン! ……。
爆発が続く中、ヤツは何事もないように宙に浮かんでいる。それでも、トルシェはファイヤー・ボールを撃ち続ける。
ドドドドドーン!
爆発の中から、一条の閃光が走った。しまった!
その光でトルシェの左腕の
すぐにアズランがどこからか紐を取り出して傷口を止血した。俺の左手の指輪がガントレットの中で明るく光り始めた。トルシェの右手の指輪も光り続けている。血はすぐに止まったようで、少しずつ左腕の再生が始まったようだ。
次の攻撃をトルシェたちが受けないよう、俺がヤツの次の
宙に浮いたハムザサールが手に持った棒を俺に向けて突き出すのが見えた。来る。
その棒の先が光ったと思った時には、俺の脇腹に
ナイト・ストーカーはこれまで凹むことはあったが孔が開いたことは一度もなかった。こんど、頭を狙われたら俺もお
しかし、さすがはわがナイト・ストーカー。いま空いた孔も、ゆっくりではあるが塞がり始めている。ほとんど何もない脇腹でよかった。
そして、またハムザサールが手に持った棒が光った。
今度は、俺の左膝が無くなった。膝から先の左足がアズランの目の前まで転がって行った。俺はといえば、とっさに左手のリフレクターを使って何とか転ばずに済んだ。
『アズラン、俺の左足を持ってきて膝の先に置いてくれるか?』
アズランが、俺の左足を持ってきて、無くなった左ひざのあったあたりにくっ付けてしばらく持っていてくれたところ、すぐに左足が鎧ごとくっ付いてくれた。ただ、膝の部分の再生はまだなので、左足の長さは短いままだ。
『アズラン、ありがとう。どうやらヤツは、俺で遊んでいるらしい。もう少しの
『ダークンさん頑張ってください』
『任せろ!』
また、ハムザサールが棒を俺に向けようとしているのが目に入った。今度はどこだ?
『……、リンガレング、対精神体モード移行完了。精神体排除開始します』
ふー、間に合ってくれたか。リンガレング、任せたぞ。
いままでのリンガレングはただの銀色で、八本の足の先だけ青みがかっていたが、今回対精神体モードとかに移行したリンガレングの色は全体的に赤みがかった銀色、足先ははっきりと赤くなっていた。この色が精神体とかに効くのか? 何が効くのか分からないが、そのままリンガレングは宙に浮くハムザサールに向かって
これまでのリンガレングと比べ明らかに動きは鈍いように感じられるが、一度俺に向かって放たれようとしていた攻撃がリンガレングに放たれた。
ヤツの白色光はリンガレングに命中したが、そのまま四散してしてしまいリンガレングは無傷でハムザサールに迫っていく。
行け! リンガレング。戦え! リンガレング。
ヤツの真下にたどり着いたリンガレングが後ろの二本の足を使って立ち上がり、そしてジャンプ。ハムザサールの高さまで飛びあがったところで、八本の足が八方向からハムザサールを切り刻んだかにみえた。
リンガレングが床に着地したところで、ハムザサールの着ていた
そのとたん俺の体が打ち震えた。胸のあたりに何かが吸い込まれたような感覚が久しぶりに俺を襲ったのだ。
[あとがき]
宣伝:
SF・コメディー、
『法蔵院麗華~無敵のお嬢さま~』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054904992245 よろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます