第122話 大魔王『ハムザサール』3
ドラマの
当然椅子のミイラの身ぐるみも剥ぎ取った。こっちのミイラの体はさっきのよりしっかりしていて崩れなかった。しかも下着を着用していた。下着姿になったミイラは着ている下着から言って、女だったのか、
鏡については動かすことも外すことも出来ず、『キューブ』に収納できなかった。
『それじゃあ、消化不十分だが
ぞろぞろと、ステージの上から一段下がって広間の出口に向かって歩いていったのだが、なんだか広間の四隅で燃えていた炎の大きさが大きくなって広間全体が明るくなったような気がする。
『何だか部屋の中が明るくなったような気がするんだが』
「たしかに四隅の炎は大きくなってます」
「何かが起こるかも」
いつものように誰かがフラグを立てると、それがすぐに回収される。
次の一歩を進めようとしたら、足が
魔法耐性が相当高い俺たちが何かの魔法で足が動かせなくなってしまった。こいつはかなりデキるヤツの
「これは、どういった魔法なんでしょうか?」
「この状態で攻撃を受けるとかなりマズいかも」
『両手が動かせるだけ良しとしよう。さて、何が出てくるか』
しばらく待っていたのだが、足が動かせなくなっただけで何も起こらない。これはいったいどうなるんだ。
そこまで、尺は長くなかったようで、
『警告:高エネルギー反応』
『警告:高エネルギー反応』
『リンガレング、
『リンガレング、第二段緊急障壁展開』
『リンガレング、第三段緊急障壁展開』
……。
いきなり、リンガレングが
ヤバいのが来る!
一瞬の後、広間の天井に無数の亀裂が走り、真っ白な
もちろん俺も目がくらんで何も見えないし、音も聞こえない。ただ自分はまだ
徐々に、白い光が薄れていき、周りの物が見えるようになった。
トルシェとアズラン、それにフェアも無事だったようだ。ただみんな目を
『マスター、緊急障壁を複数展開したため、
頼もしい限りだ。
『リンガレング、よくやった。ところで、今攻撃して来た敵はどこにいるかわかるか?』
『先ほどの攻撃の瞬間はこの次元に確かに存在しましたが、現在、この次元には存在しないようです。ただ、この広間にある四隅の炎で作られる影で照準をつけて先ほどの攻撃が行われたようです』
『なるほど。それで炎が大きくなったんだ。だけど、どうして足が動かなくなったのかな?』
『魔法とは異なる
『
「あービックリしたー」「生きててよかったー」
ここで、やっと二人も再起動したようだ。
『リンガレングが敵の攻撃を防いでくれた』
「そうみたいですね。ヤツが攻撃できないよう、四隅の炎を消しちゃいましょうか?」
『それは止めておけ。ヤツは攻撃する一瞬だけ現れるそうだ。ヤツの攻撃は次回もリンガレングが防げるそうだからもう一度ヤツに攻撃させて、そこを何とか叩いてしまおう』
「わかりました。でもどうやれば?」
『俺にも分からん。
リンガレング、ヤツをたおす方法はないのか?』
『先ほどの攻撃は、「終末回路」の「神の怒り」と同系統でした。ただ、ダンジョン内での使用のため威力はかなり落ちていますし、
あれで、威力は抑えられていたのか。
『
『大丈夫か?』
『次回、こちらが
『十分こちらに有利だな。
「了解」「了解」
リンガレングにはどこに現れるのか分からないヤツを
リンガレングが守ってくれると分かっていても、こういう場面では誰しも緊張してしまうようだ。あのトルシェでさえ真面目な顔をしている。
いや、そうでもないようだ。何がおかしいのかなにやらニヘラ笑いをしている。俺のコロちゃんコーティングの姿でも思い出したのか? 真面目なアズランの方を見るとこちらも真っ赤な顔をしていた。解せぬ。
部屋の隅の炎がまた大きくなったなか、出口まであと5メートルまで来たところで、
『警告:高エネルギー反応』
『リンガレング、緊急障壁展開』
『リンガレング、第二段緊急障壁展開』
『リンガレング、サーチアンドデストロイモード移行』
来る!
『タリホー! ターゲットロック、射撃開始』
言葉が終わらぬうちに、リンガレングの八個の赤い眼から赤いビームが発せられた。そのビームが命中したのは、なんと、ステージの真ん中にあった椅子だった。ビームを受けた椅子が粉々になって吹き飛んだ。
俺たちはリンガレングの警告に従って、ヤツの攻撃に備え身構えていたが、結局ヤツの第二撃は来なかった。
『やったか?』
まずい、ついついこういった時のNGワードを口にしてしまった。
[あとがき]
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SF・コメディー、2020年9月4日より投稿開始
『法蔵院麗華~無敵のお嬢さま~』 「宇宙船をもらった男~」の外伝に当たります。
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