第120話 大魔王『ハムザサール』
『リンガレング出ろ!』
俺の脇に出現した銀色のボールから、足が八本生え、頭部がせりあがり四つずつ二列八個の目玉が真っ赤に光る。
『リンガレング、目の前にいる黒い塊をたおしてくれ』
『了解しました。
『ロード完了。「神の
今度もすごいのが出るぞ。
三人とフェアとで急いで後ろに
『「神の
これまで閉ざされていたので気付かなかったが、リンガレングの頭部の下半分が横に開いた。どうもそこはリンガレングの口だったようだ。その口から青白い光がうごめく塊りを照らした。光を浴びた部分の触手が動きを止めて色も白くなっていき、ほとんどの触手の動きが止まったところで、いきなり、
ドーン!
体重が一瞬ではあるがズシリと一気に数倍になったように感じた。俺は何とか踏みとどまったが、トルシェとアズランはその場で
30メートルくらい先から、ダンジョンの通路が
今の一撃でうごめく塊りがどうなったのか確認のため陥没地点までやってくると、かなり強い
『リンガレング、ちなみにどうやって今のヤツをたおしたんだ?』
『対象の分子運動を低下させ、超
だそうです。ただ
粉々になったアレが『不死のドーズ』だったのかは今となっては分からないが、もはや名前などどうでもいいか。『勝ったドー!』そういうことにしておこう。
ダンジョンの不思議作用で徐々に壁の崩れや天井のひび割れが直ってきている。俺たちのいる陥没地点も少しずつ盛り上がり始めた。灰色の堆積物もダンジョンに少しずつ吸収されている。
「ダークンさん、あの粉、何かになりませんかね?」
『また元にもどったらやっかいだから、このままダンジョンに吸わせておこう』
「そうですね。やっかいなヤツだったなー」
『たまにはそんなのも出るだろ。あれ? 知らぬ間に正面の扉が開いてるぞ』
「ほんとだ。音もしなかったので動いているのに気づきませんでした」
『気を付けて中に入ってみよう』
扉の先は、これまた天井の高い大広間。広間の正面の
広間に一歩入り周りを見渡すと、手前の
椅子に座った何かしかいないため、まずそこに行かざるを得ない。前に進んで行くと、その何かはやはり人のようだ。
金色のローブのようなものを着て、頭にも金色の
『俺にはミイラに見えるんだが』
「ミイラですね」
「ミイラです」
『こいつが大魔王「ハムザサール」だったのかな?』
「さあ、どうでしょう」
「それじゃあ、なんでここにいるんでしょう?」
『
椅子の後ろの壁に掛けられたいる大鏡に椅子は映っているのだが、俺たちの誰もそこに映っていない。ええっ? どうなってるんだ。
『そこの鏡に俺たちが誰も映っていないんだけど』
「あっ、ほんとだ」
「どうしちゃったんでしょう?」
今度は三人揃って鏡に近寄っていろいろ変わったところはないか調べてみたが、俺たちが映っていないという最も大事なところ以外は以外は普通だ。
「割っちゃいましょうか?」
『よし、割ってみよう。俺が割るから、二人は少し離れておいてくれ』
「はーい」「はい」
二人が、後ろに下がったのを確認して、リフレクターを両手で構え思いっきり鏡にたたきつけた。
ゴン!
鈍い音がしただけで、鏡は割れなかった。そのかわり、
『誰だ、わしの眠りを妨げる
本当の声だったのか頭の中にひびいただけだったのかは分からないが鏡の中から声が響いた。
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