第116話 魔王城3
さっそくトルシェが廊下に並んだ部屋の中に突入し、手あたり
『アズラン、トルシェを守りながら手伝ってやってくれ』
「はい」
トルシェは、いつかの『闇の使徒』の屋敷を
バタンと、扉を開けて部屋に突入し、ひとあたり中のものを回収してそのまま廊下に出て隣の部屋を同じように物色していく。どこまでも続く廊下に並ぶ部屋。そうやって金目の物を回収し続けていったのだが、
「あれ? また階段が見えてきた」
「この先の扉が全部開いてる。あれれ? ここ最初のところ?」
右に折れてそこからずうっとまっすぐ進んできたのだが
『まあ、いいんじゃないか。いろいろ
「それもそうですね。しかし、ここまで来ているのに誰も出てきませんね」
『どうしたのかな? どうみてもここはここは「魔王城」だと思うんだがな』
「外から見た時と、中に入ってからの大きさがかなり違っているような気がするんですがどうでしょう?」
『確かに、内側はそんなに広くはないよな。奥行きがないような気がする。もしかして、この先にまだまだ何かあるかもしれないぞ。階段の
二階から踊り場まで階段を下りて、その壁に向かってコンコン叩いてみる。確かに軽い音がする。前回のこともあるので、
『コロ、この壁に孔を空けてくれるか?』
すぐにコロの触手がナイト・ストーカーの
「広いところだけど、目ぼしいものは? ……、あっ! ダークンさん、正面に大きな像が立ってます。いままで気付かなかった」
「トルシェ、私も気付けなかった。今現れたみたい」
『出たな。きっとあいつがなんとかいう魔王に違いない。大きさといい迫力といい魔王そのものだ。ところで、魔王の名前は何て言ったっけ?』
「ハムザサールです」
『そうそう、「ハムが刺さった」って覚えておけば忘れないな。「ハムが刺さった」、「ハムが刺さった」よし覚えた』
ズシン! ズシン! 俺たちが話しをしていたら、正面の巨大像、『大魔王ハムが刺さった』いや『大魔王ハムザサール』がこっちに向かって歩き始めた。
何だこいつ。いくら大きいからといって、そんなにてれてれ歩いていたら戦いにならないぞ! 俺たちをナメてるのか?
『トルシェ、先制攻撃、いっちゃってください』
「
トルシェが右手を突き出して、例の青白いファイアー・ボールを作り出した。今回の大きさは、直径1メートルはある。
「いっけー!」
ゴーー!
迫力ある音をたててトルシェのファイヤー・ボールが魔王に飛んでいき、そこでそのまま消えてしまった。
「あれ?」
なるほど。こいつは魔法を打ち消すフィールドだかバリアを使ってるな。それでこそ、魔王。ファイヤー・ボールの一撃で沈んでしまってはお笑い大魔王だからな。
『トルシェ、こいつには魔法は効かないようだ。
「なるほど」
そういって、すぐにトルシェは
「いっけー!」掛け声はファイヤー・ボールと同じだった。
シューー!
シューー!
ブシュッ! ブシュッ!
意外と簡単に矢は魔王の両目に刺さった。
「あれ?」
トルシェが目を丸くして魔王を見つめている。その魔王は目玉に
なかなか手ごわい相手だ。だがそれがいい。
ここらが、
「それでは、コロ先生、お願いします」
どこかの教室にいるタコづら先生をお呼びして、一気に片を付けてしまおう。
ナイト・ストーカーから無数に伸びたコロの触手が魔王に触れる。
これで決まったな。そーら、そろそろ崩れろ。コロに食べられて消えてしまえ。
待てど暮らせど、魔王に変化がない。あれれ? そのかわり、魔王は今のところ停止したままだ。
そのうち、コロも触手を収めてしまった。コロでもたおせなかった。
コロでもたおせなかったということは、いま俺たちの前にいるこいつは、実体がないんじゃないか? こいつの大きさに
「ダークンさん、危ない!」
急にアズランの
シュッ!
首の後ろを高速で何かが通り過ぎた。前方に転がりながら、何とか振り返ると、そこには大剣を持ったこれまた
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