第117話 『白銀のテレッサ』
振り返ると大剣を持った、これまた
珍しいことにこいつの着ている全身鎧はピカピカの銀色だった。
体つきが
先ほど、アズランの
『トルシェ、魔王の使徒の中に女はいたのか?』
「たしか、『
『おそらく、そいつがそうだ』
俺たちが話している間にも、そいつは俺に何度も切りかかってきている。戦闘モード状態なので、なんとかその剣先をかわしているのが現状だ。
それでは俺も
トルシェを守るように一歩前に出て、エクスキューショナーとリフレクターを構える。
『コロ、ヤツが一歩足を前に出したらその足元に穴をあけてくれ。よーっくタイミングを見てやってくれよ』
できることをしないのは俺の
コロの
俺はスリ足で少しづつヤツの間合いに近づく。ヤツは狙いどおりその場で俺を迎える気のようだ。ヤツが一歩踏み出すだけで俺に大剣が届く間合いにじりじりと俺が入って行く。コロ、もうすぐだ。
狙い通り、ヤツが一歩踏み込んで大剣を俺の肩口目がけて突いてきた。ヤツが体重を乗せて踏み込んだ右足の床が抜けていく。大剣の軌跡が下に流れながら俺に近づいて来る。そこを俺はリフレクターを大剣に軽く合わせる。
ガシャーン!
軽く合わせたつもりのリフレクターだが思いのほか大きな音を立てて大剣を横に
「主の御名の下(もと)に断罪する!」
アズランが『断罪の意思』を振るい、あっさりヤツの首を
転がったヘルメットの中から血の
せっかくなので、コロに鎧ごと『白銀のテレッサ』の死骸を食べさせてやった。このところコロは石ばかり食べさせられていたので丁度良かったろう。『白銀のテレッサ』の鎧はコロに食べさせるには
これで、四使徒のうちの三人までたおしたはずなのだが、特に感慨はわかないな。
転がった大剣を見るとつばが大きく刃先方向に張り出している。おそらくクレイモアとかいう大剣だろう。今までたおした連中の
「トルシェ、最後の使徒の名前はなんていうんだ?」
「えーと、確か『不死のドーズ』とかいった気がします」
間違いはあったようだ。
『白銀のテレッサ』にかまけていたが、気が付いたら、あの魔王もどきの巨大像が知らぬ間に消えてなくなっていた。そういうものだと思っておくしかないな。
それでは、邪魔者がいなくなったところで、この大広間を探検するとしよう。
見た目は何もない大広間なのだが、巨大像が現れた場所辺りが、一段高くステージ状になっている。そこまで三人で歩いていってステージに上がってみると、真ん中に久しぶりの宝箱。それも初めて見る金色の宝箱だ。
それでは、対宝箱
シュルシュルと伸びたコロの触手が宝箱に触れ見るまに宝箱が消えて行った。中から出てきたのは、金色の
『これは何だと思う?』
「形からいって、なにかの部品なのか、どこかにはめ込む物じゃないでしょうか」
『なるほど、その線が当たりのようだな』
「ダークンさん、この壁に、ちょうどその歯車がはまりそうな
ステージ正面の壁の真ん中あたり、ちょうど腰の高さ当たりに丸い
『どれどれ。ほんとだ。こいつは何かの鍵に違いない、はめてみよう。危険かもしれないから二人は少し離れておいてくれ』
二人が離れたのを見届け、金色の歯車をその溝にはめ込んだ。
キッチリとその溝にはまった歯車は、音もたてずに回転を始めた。その回転に合わせてその横の壁が5メートルほどの幅で下がり始め、下がり終わった先には下に通じる階段があった。
[あとがき]
〇レイモア面白かったです。微笑のテレサの最期が気に入りませんでしたが、テレサ良かったです。
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2020年8月28日、
SF『宇宙船をもらった男、もらったのは星だった!?』完結しました。
巨大宇宙船の艦長になった主人公が地球や宇宙を救おうとするお話です。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054897022641 よろしくお願いします。
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