第114話 魔王城
黒い渦の先は、
ところどころに、葉の落ちた
『見た目は、「魔王城」だよな』
「ダークンさん、さっそく
それじゃあ、押し込み強盗だよ。
「『
『いやー、それは最初の意味が正解だと思うぞ』
その時、アズランの肩に座っていたフェアが、『インジェクター』を抜きながら少し離れた木の上に向かって飛んでいた。一瞬フェアが見えなくなった次の瞬間、その木の上の方から、黒い
フェアはすぐにアズランの元に戻って来たが、何が起こったのか確認のため、黒い塊のところまで駆け寄ると、その塊りは半分溶け崩れたフクロウのような鳥だった。
ただの鳥だったのか。それとも、どこかの小説のように
家の近くで押し込み強盗の
そう思っていると、『魔王城』から無数の黒い影が湧きたってきた。
『アズラン、あれが何だか見えるか?』
「体は鳥のようですが、顔は人のように見えます。ハーピーとかいうモンスターかもしれません」
『ハーピーか。そんなのもいるんだな』
「わたしも初めてだけど、
トルシェがまた訳の分からんことを言い始めた。本当は焼き鳥にしたらおいしそうと言うかと思ったのだが、それはなかったようだ。
「
『さあな、味付けしてなくちゃ
俺も話に乗ってやった。
そうこうしているうちにハーピーとやらがかなり近づいてきた。ギャーギャー、鳴きわめいているところが可愛らしく思えてきた。それになんだか体もポカポカ気持ちよくなって来た。
「そういえば、ハーピーの声は呪いの声らしいです。近くでその声を聞くと体の具合が悪くなったり、病気になったりいろいろ良くないことが起こると聞いたことがあります」
『ふーん、そうだったんだ。それで、普段これほど大声で騒がれるとうるさく感じるはずが、なんか
「フー。大きく息を吸いながらハーピーの声を聞くと確かに体に良さそうな音です」
「わたしも、フー。ほんとだ。こいつらどうします。ここで皆殺しにしてしまうのはもったいないですよね」
『そうはいっても邪魔だから、早めに
「
近づいてきたハーピーは俺とアズランがたたき切っていく。フェアも『インジェクター』を抜いてハーピーを切り殺していく。『暗黒の涙』はそろそろ抜けているころあいなので、単純に『インジェクター』を剣として使っているようだ。いまのところ、『妖精の鱗粉』の効果は分からない。
遠くにいるハーピーはトルシェが両手から機関銃のごとくファイヤー・ボールを撃ちだして派手に叩き落している。機関銃弾なら爆発しないだろうが、ファイヤー・ボールは何かに当たれば爆発する。そのうち辺りが爆発するファイヤー・ボールで
ハーピーごときが強キャラなわけがないのでこんなものだろう。
派手に魔法を連発したトルシェが水袋を取り出したのを見て、アズランも水袋から一口『暗黒の聖水』を口に含んだようだ。
『さて、次は何が出てくるかな? その前に焼き鳥を
「処分ってコロちゃんに食べさせるんですか? すこしだけわたしたちも食べてみませんか、焼き鳥?」
『俺は、遠慮しておく。そもそも食べれないしな。そいつらの顔が、人の顔、それもしわくちゃババアの顔に似てるだけ不気味だぞ』
「それもそうか。試しに食べようと思っただけなので、やっぱりコロちゃんに全部食べさせましょう。しわくちゃババアの顔が移ったら大変ですから」
そういうことで、ヘルメットをすこし上にずらし、のど元からコロを外に出してやった。
『コロ、そこらに転がってる焼き鳥を全部
コロの体が一度キュっと細まった。これは俺の言ったことを理解して返事をしてくれたに違いない。その
食事の終わったコロがもぞもぞ俺の足元に這い戻って来たので、またヘルメットを軽く上に
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