第111話 悪いのはおまえたちだ!「僕じゃない」

[まえがき]

思い出したので、

angela:僕じゃないHQ FULL-革命機Valvrave[Ed]

https://www.youtube.com/watch?v=LdOhfmM3HXQ

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 、トルシェのファイヤー・ボールでメチャクチャになった一帯から逃げるように立ち去った俺たちは、また冒険者ギルドのギルマスにつかまってしまった。


「おいおい、大爆発もあったし、騒ぎがどういったわけか収まったので来てみれば、またおまえたちか。何がどうなっていたのか知らないか?」


「また信じないと思うけど『城塞のバグー』を名乗る大男が手下とモンスターを引き連れて街を破壊していたところをわれわれが皆殺しにしました」


「『城塞のバグー』? 伝説の『城塞のバグー』だと。大魔王『ハムザサール』の四大使徒しとの一人のか? おまえたちにたずねた俺がバカだった。もういい。行ってよーし」



 今回も、前回同様何も信じてもらえなかったが、結果オーライ。『闇の眷属』兼小市民しょうしみんの俺は少し安心してしまった。


 ここまで、街が破壊されて大騒ぎになってしまえば店もいていないだろうと思って通りを歩いていたのだが、開いている店がちらほらあるようだ。


『店屋も開いてるところがあるみたいだから、フェアの服が買えるかもしれないな』


「探して見ましょう!」



 街の住民たちも騒ぎが落ち着いたのを察知したのか、北の方から南に向かって歩いている連中が結構いる。どれくらいの連中が、の巻き添えで住処すみかを失ったのかはわからない。戦いには犠牲ぎせいはつきものだ。命があっただけでも良しとして諦めてもらわねばならない。


 実際、俺たちが駆け付けなかったら、間違いなく物的被害はいまだったろうが、人的被害は相当なものになっただ。感謝してもらいたいものだ。




 アズランは俺がフェアの服を買おうといった瞬間に先頭に立って通りに面した店を確認し始めた。


「おもちゃを売っている店がありました。一応雑貨屋のようですが、人形にんぎょうも売っているかもしれません」


 アズランに連れられてやって来た店は小物を中心とした雑貨屋だったが、ゴツい全身鎧を着た俺には入り口が狭くて無理して店の中に入ると、入り口の枠組みごと抜けてしまいそうだったので、入店は遠慮えんりょした。


 しばらく雑貨おもちゃ屋の前で、アズランとトルシェが出てくるのを待っていたのだが、二人がなかなか出てこない。心配になったわけではないが通りを歩きながら俺を見る目がぶしつけで非常に気になる。


 そんなに俺を見るのなら俺プラスコロちゃんの黒コン姿を見せてやってもいいんだぞ!



 バカなことを考えていたら、やっと二人が店から出て来た。


 何だか、アズランの肩の上にとまったフェアに元気がないようにも見える。おそらく二人に着せ替えきせかえ人形にされていたのだろう。そのかいあってか、ちゃんとズボンはいていた。パンツの有無は不明だ。上着ははねの関係で着ることはできないらしい。よく見ると、細めの革紐をたすきにかけて、アズランのあの革のさやに入っていた暗器を背負っている。鞘の先が邪魔じゃまになってアズランの肩の上にうまく座れないようだ。


『アズラン、フェアの服があったようで良かったな。だけど、鞘が邪魔になってうまくおまえの肩先かたさきに座れないようだぞ』


「あれ、ほんとだ。フェアちゃんごめんね」


 そう言って、アズランはフェアを肩から下ろして暗器を取り付けた革紐を外してやった。


『少しフェアには大きかったようだな』


「やっぱり、ちゃんと鍛冶屋さんに頼まなくちゃだめかな?」


「それじゃあ、とりあえず武器屋に行ってみようよ。何かあるかもしれないよ」


「暗器みたいなの売ってるかな?」


「ものは試しだし、武器屋に無かったらそしたら鍛冶屋にまわってもいいじゃない」


「そうだね」


 そういうことで、いつもの武器屋に行くことになった。先ほどまでの騒動で開いていない可能性もあったがちゃんと開店していた。


 ここなら俺も中に入れるので安心して中に入った。


 トルシェが店の人に、なるべく小さな武器はないかと聞いていたが、やはり、アズランの暗器以上に小さなものは見つからなかったようだ。


『仕方ない。トルシェ、どこか鍛冶屋を知っているか?』


「一応は知っていますが、ここにないような武器について、われわれの話に真面目に取り合ってくれるかどうかはわかりません」


『それはそうだな。そしたら、俺たちで作ってみるか?』


「ダークンさん、鍛冶ができるんですか?」


『鍛冶は出来ないが、ヤスリと砥石といしでいまのアズランの暗器を短くしたらいいんじゃないか?』


「それもそうですね。ヤスリも砥石もここなら何種類もあるし。さっそく何種類か買っておきましょう」


 金に糸目は付けないよという訳ではないが、こんなに必要なのかと思えるほど店の人に出されたヤスリと砥石をトルシェは買い込んだようだ。


「それじゃあ、さっそく拠点に戻って、鍛冶仕事だ!」



 俺たちは一人元気なアズランを先頭にして、落ち着きを取り戻した街を後にして拠点に戻った。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る