第104話 共生体
コロちゃんの進化を確認するため拠点に戻ることにした。日はすでに暮れており、外壁の上には人はいない。
モンスターの
責任の
日が暮れてまだ早い時間だ。昼間の騒動のせいか、通りにも人影はかなり少ない。
もちろん俺のダーク・ストーカーには赤い血管のような模様が浮き出ていているので、相当迫力があると思う。あえてマントは
だいぶ俺の中のコロも俺自身もこの共生生活に慣れてきたようで、変なところから微妙な感触を感じることは少なくなった。少なくなっただけで、
『ほう!』と、たまに妙な感覚が頭を突き抜けていく。
「ダークンさん、ちょっといいことを思いついたんですけど」
『何だ?』
「コロちゃんなんですけど、せっかくダークンさんと一体化しているんだから、ダークンさんの体の代わりになりませんかね?」
『ん? どういう意味だ?』
「コロちゃんが、ダークンさんの肉の代わりになれば、声なんかも出せるようになるんじゃないかなって」
『なるほど、それは面白いな。ちょっとやってみるか。喉と口元、それに舌があればなんとか喋れそうだもんな』
そういうことで、試しにコロを俺の喉の方に移動させて、空気を出し入れする肺代わりの風船と喉、舌や口の周りの肉もどきになってもらった。
俺がこれから口にしようとする音の口の形などを強く意識するとコロが感じ取ってくれるようで、肺代わりの風船を膨らませたり縮めたりしながらなんとなく声が出せるようになって来た。
「
「あ、い、う、え、お」と言ったつもりが、ちゃんといえたのは「う」だけだった。
どうも、舌とアゴの動かし方がシンクロしていないようだ。
アゴの動かし方を練習していたら、だいぶ良くなってきた気がする。次は頬と唇の動きだ。
いろいろ試しながら、口から音を出して、かなりうまくなってきた気がしていたのだが、
「ダークンさん、なかなか難しそうですね」
トルシェにダメ出しされた。
待てよ。俺はいままで頭の中で考えてトルシェたちと会話していたんだが、果たしてあれは日本語だったのか? それともここの現地言葉だったのか? 今俺が口にしているのは少なくとも日本語だ。と言うことは、トルシェたちに分かるはずないか。
この歳で、外国語を覚えなくちゃならないくらいなら、いままで通り頭で考えるだけで意思が伝わる方が相当便利だからな。俺が
『トルシェ、これから、俺が口にする言葉が分かるかどうか教えてくれ』
「
「聞き取りにくいけどトルシェっぽく聞こえました」
『それじゃあ、』
「
「ビジと聞こえましたが何のことかはわかりません」
こうやって、トルシェが口に出している言葉はちゃんと日本語に
うーむ。そもそも、俺には耳もなければ
考えていたら、頭がくらくらして来た。
ということで、何も解決するわけではないが、俺は『ファンタジーだから』の一言ですませることにした。
そろそろ『大迷宮』の出入り口だ。
24時間で何交代なのかは知れないが、ギルド職員に胸の金カードを見せて、実際の迷宮への出入り口の渦に向かう。
渦の先は俺たちの拠点だ。
拠点に戻り、大広間の鑑定石で、まずはコロの進化を確認する。
「コロちゃん、ちゃんと進化してるかなー?」
『見た目はそれなりに大きくなってるし、モンスターの死体を片付けるのがメチャクチャ速かったから、進化してると思うぞ』
「フェアちゃん」
『フェアもコロの次に確認してみよう』
ヘルメットを取って、コロに外に出てくるよう念じると、コロが、アゴと首の間からにゅるりと出てきて、床の上に落っこちた。
『それじゃあ、鑑定、いってみよー!』
コロを両手で抱えて、鑑定石の上に乗っけ、側面の文字に手を当てる。
<鑑定石>
「鑑定結果:
種族:ブラック・グラトニー(
種族特性:ブラック・グラトニーの成体。
幼体に比べあらゆる能力が高まっている。特に捕食速度、移動速度が上がっている。
捕食力が非常に高い。あらゆるものを捕食の対象とする。
死ぬと猛毒の黒い液体になるといわれているが、死亡した成体のブラック・グラトニーは未だ確認はされていない。
黒い
腐食、腐敗についてはレジストはほぼ不可能。
腐食、腐敗したものに対する捕食速度は圧倒的。
触手を無数に伸ばすことができる。触手ももちろんあらゆるものを捕食できる。
物理攻撃には絶対耐性、魔法攻撃に対して非常に高い耐性を持つ。
共生体:共生相手との意思の疎通がスムーズになる
次の進化先:不明」
うーむ。これは。
もはや、コロの瘴気に影響されない俺たち『闇の眷属』以外コロには
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