第65話 コロ
『アズラン。ここを出て行く前に、おまえのその短剣に名前を付けないか? 俺たち「闇の眷属」だと、名前を付けるだけで武器が強くなるんだ。
「アズラン。今の話、
「名前ですか? そういうのは
「それじゃあ、わたしが考えてあげるよ。うーん。……、
……、
『
『おー。トルシェよ、まさにC2-ポジティブの名に恥じぬ素晴らしい名前だな。
アズラン、その名前にしろよ。きっとその短剣も喜ぶと思うぞ。その短剣を手に持って、今の名前で呼びかければ、名づけは完了だ。簡単だろ?』
「C2-ポジティブ?は何だかわかりませんが、やってみます」
アズランは、右手で短剣を
「おまえの名は『断罪の意思』。これからもよろしく頼む」
その言葉に反応してアズランの短剣、『断罪の意思』がキラリと光った。ような気がする。
『どうだ? アズラン、いまなにかピピッとこなかったか? ピピッときたろう?』
「そう言われれば、何か感じたような気がしないでもありません」
『そうだろう、そうだろう。それで、ちゃんと名前がついたはずだが、一応鑑定石で鑑定してみよう。部屋の真ん中に突っ立ってるあの石の柱が鑑定石だ。鑑定石の上に『断罪の意思』を置いて、周りの
俺の言葉通り、アズランが自分の短剣を鑑定石の上に置いて鑑定した。
『俺たちにも鑑定結果を教えてくれよ』
「はい、
<鑑定石>
「鑑定結果:
名称:
種別:短剣(
特性:『
「アズラン、なんだよそれ。『主の
『主の
『そういえば、アズラン、おまえのはめている指輪を鑑定してみてくれないか?』
「え? は、はい。
こんな感じでした」
<鑑定石>
「鑑定結果:
名称:速さの指輪
種別:眷属の指輪
特性:力の指輪を装備する者の眷属となる。
力の指輪の
やはり眷属の指輪だよな。
そのあと、アズランの指輪をいちど貸してもらい手に取って内側を見ると、あの文字で「ᛋᛈᛖᛖᛞ」と書いてあり、「速さ」と読めた。
『先にアズランに「収納キューブ」を渡してから、「闇の神殿」を周って、それから「進化の祭壇」に行こう』
『収納キューブ』の置いてある部屋に入って、アズランに適当に手に取った『収納キューブ』を一つ渡したら、アズランは宝箱の中にいくつも『収納キューブ』が入っていることに驚いていた。いちいち驚くヤツだ。
新しい拠点でヤルべきことは一応終わったので、そのまま大広間を出て、通路を通りドラゴンの顔から広間に出て『闇の神殿』に向かった。
広間を出た先の通路には、ちゃんと黒いスライムがうごめいている。
『アズラン、その剣でどんどんスライムをたおしていくんだ。あいつらに取りつかれないように注意しろよ。体が溶かされるからな。まあ、俺たちには指輪があるから少々体が溶けてなくなっても大丈夫だと思うがな』
「そ、そうですね。わかりました。やってみます」
アズランが、おっかなびっくり、ブラック・スライムを短剣でたおしているところを横目で見ながら、俺は、小ぶりのスライムを捕まえようと物色していた。
どうして小ぶりかというと、その方が箱に入れていても邪魔にならないし、進化しやすいんじゃないかと勝手に思っただけだ。
目に付くスライムはどれも、のっちゃりとして大きさが俺好みではなかったので、リフレクターでどんどんプッチしていった。
トルシェの方は短弓の
最初のうちはスライムに対してやや引けていたアズランだが、すぐに効率よくスライムをたおしていけるようになった。この分ならすぐに進化しそうだ。
いたいた。やっと小ぶりのスライムが見つかったので、ガントレットをはめた手でそいつをすくって、鉄の箱の中に入れてやった。やったぜ! 俺のスライムちゃんだ。
トルシェとアズランが必死になってスライムをプッチしている間、おれは鉄箱の蓋もせずに中のスライムを眺めて名前を考えていた。
『
今の俺の言葉に答えるかのように、鉄箱の中のスライムが震え、一瞬、ほんの一瞬だけスライムの体が
これも名づけの一種だったようだ。おそらく、俺の『コロ』ちゃんは、これから最強スライムへの道をたどるに違いない。
最強への道。それはつらく
俺が『コロ』ちゃんを最強スライムにしてみせる!
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