第6話 骨楽器
ゴブリン?をスライムを使ってたおすことができた。それ自体は、体感的に俺に経験値をもたらさなかったようだが、ゴブリンをたおしたスライムを俺が殺すことで経験値を回収できたようだ。
最後に俺が
先ほどの戦闘を振り返るに、あの黒いスライムは実はかなり危険な生物のようだ。たまたま、俺がゾンビだからダメージが少なくて済んでいるが、一般的な生き物にあのスライムが取り付いてしまうともはやなす
逆に考えると、どうしてこんなに危険な場所にさっきのゴブリンが歩いていたのか不思議だ。
とはいえ、いまスライムを両手で持っただけで、俺の手の腐肉もかなり持っていかれている。悩ましい。ダジャレではないが、何かいい手がないだろうか。
左手に持ったゴブリンのこん棒。こいつでスライムを殴ってたおすことができれば、剣をこれ以上
これまで出会ったスライムは右手に持った剣で斬りつけてたおしていたのだが、次に出会ったスライムを右手に持ち替えたこん棒で思いきり
それだけでスライムは弾けてつぶれ、いつもの黒い液になってしまった。
これはなかなか良い。スライムよ、どこからでもかかってこい!
いい気になってそのまま先に向かって歩いていたのだが、よく考えると、こっちの方向からゴブリンが現れたのだ。この先複数のゴブリンに出くわす可能性もある。悩ましいな。この先に何かあるか確認するか? いったん拠点に帰るのか?
よし、回れ右。いったん拠点に帰ろう。
回れ右をして拠点に帰る道すがら、どういう加減だかわからないが、またスライムが湧いている。こん棒でたたいて殺すだけの簡単なお仕事で経験値になる。ありがたいことだが、もしも拠点内にも湧いているようならすこし問題だ。
帰りはスライムも少なかったことと、身体能力が少し上がったようで10分もかからず拠点に戻ってくることができた。石室の中を確認したところ幸いにも気がかりだったスライムはいなかった。
石室の
まず、全裸であること。この状態を何とかしたい。
しかし、こうして壁に寄りかかって座っているだけで、背中から染み出た
ここで、衣服を身に着けてもべっちょり体に貼りついてしまい、動きが
衣服の方はこの腐汁で湿った体がもう少し
次に、手にした武器だが、剣の方は、最初のころは傷みが激しかったが、今見てみると、どういった理由でかわからないが、
一言で言うと迫力が出て来た。こいつも、俺同様敵をたおすと強化されるのかもしれない。
ゴブリンのこん棒は最初からある程度は黒ずんでいたが、今ではその黒味も増してテカリまで出て来た。こちらも剣同様迫力がある。黒ずむことで強化でもされているのかもしれない。
床を見ると俺の腐肉が、ぐしゃりと床にくっ付いていた。尻に手を当ててまさぐると、肉がごっそりなくなっていて、
そのうち、腹の肉も腐り落ちるのだろうが、そうすると内臓がこぼれ出てしまう。今でも、腹の中で
この腹は、内側からガスの力で破裂するのか? 何かの事故で腐った腹筋が裂けるのか? はたまた、内臓の重みで、腐った腹筋が破れて内臓がこぼれだすのか? ああ、それが問題だ。
尻の肉が減ったせいで、指先の骨が座骨にあたり鈍い音がする。これはこれで新鮮な音なのだ。あまり意味がないがつい指先で座骨をたたき調子を取って音を出してみた。
トット、トット、トットト、トット、トット、トー。
童謡「ウサギと亀」である。
ゾンビが尻に手を回して「ウサギと亀」である。なかなかシュールな遊びである。
別に、尻の骨をたたかなくても、右足の骨などは膝まで露出しているので、そっちの方が良い音が出そうだ。やってみるとこっちの方は乾いた高めの音がする。
スライムにかじられた時はもっと白かったはずだ。悪い子の骨が死んだ後に黒くなるとは聞いたことがないので、これも剣やこん棒と一緒で、なにがしかの影響をこのダンジョンから受けているのだろう。
それじゃあ、気晴らしも済んだことだし、探検の続きをするか。今度は右手の通路を探索してみよう。
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