第5話 探索、ゴブリン?
そこそこの時間をかけて
石室の中のスライムを全滅させた俺は、次に部屋の隅にあるゴミの山をあさることにした。先ほども何に使うのかわからない金物があったが、何か他にちゃんと役立ちそうなものがないかと思ってゴミをあさったところ、どうもそのゴミの山はかつて
人骨などはスライムに食べられたのか見当たらないのだが、金属製の
その代り、
その剣の他にはやや上等そうなナイフが一本。黒ずんでしまった硬貨はおそらく銀貨だろう。そういった硬貨が十数枚見つかった。
この世界には硬貨を使う人間らしきものがいるということが分かったのは大きい。俺のこの姿を見た人間はおそらく俺の敵になるだろう。
このゴミの山だけで判断するのは早いかもしれないが、
ゴミの山には
あと問題なのは、いまさらながら全く
この石室の中にいる限り、出入り口だけ見張っておけば今のところ安全なので、ここを当面の拠点としてまずは周囲の確認をしてしまおう。
出入り口から首を出し通路を確認すると、左右に伸びた薄暗い通路はどちらも真っすぐ遠くまで続いているようだ。
当てがあるわけではないので、まずは左側から
通路には、黒いスライムがそれなりの数うごめいている。俺の臭いを
あと何匹くらいスライムを切り殺すと、右手に持ったこの剣がダメになるのかはわからないが、思いっきり壁や床にぶつけない限りまだまだ何とかなりそうだ。
拠点を出て10分ほど進んだところで曲がり角が前方に見えて来た。
そこまで進んだところ、曲がり角の向こうから足音のような
音を立てないよう用心しながら曲がり角の脇からそちらをのぞいてみると、背の低い
人型が敵かどうかは分からないが、ここでのこのこ出て行って襲われてしまえば
先手必勝。
とはいえ、いずれ人型も俺のこの臭いに気付くだろう。
ちょうど目の前の床の上に、いつもの黒いスライムがいた。そいつが俺に向かって這い寄ってきている。こいつをタイミングを見て人型に投げつけてやればいいんじゃないか?
足音が近づいてきた。1、2、3、いまだ!
曲がり角から飛び出して、持っていた剣を床に置き、そこで這っているスライムを両手でつかみ、すぐそばまで近づいて来ていた人型に投げつけてやった。
言葉にすれば一瞬だがそこまで素早く俺が動けたわけではないので、
ギャー、ギギー、ギャギャー!
人型が
あれれ、スライムってそんなにヤヴァイ生き物だったのか?
ほぼ一撃で、
まわりにはすでに数匹のスライムが寄ってきているので、
結局、今の人型が何だったのかははっきり分からないが、ラノベ的にはおそらくゴブリンだったんだと思う。ゴブリンの経験値が入ってきた感じはなかったので、想像だが経験値はスライムに入ったのだと思う。
5分ほどで人型の死体は、たかっていたスライムに食べつくされた。
俺は剣を再び手にして、死体をむさぼりつくしたスライムをたたき切ってやった。そうしたら、いままでよりもさらに夜目が利くようになり、体も軽くなった。ついでに言えば、力もみなぎってきたような気がしてきた。進化というものがあるとしてだが、この調子で行けばまもなく進化できるんじゃないか?
通路の床には、人型が持っていたこん棒だけ転がっていた。
これは使えそうだ。右手に刃こぼれした剣、左手にこん棒を持って、いたるところの骨の露出した全裸のゾンビ、俺が行く。あらぬ方向に曲がってしまった左手の中指は少し引っ張って元の位置に戻しておいた。
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