番外話 ゴブリン?※このエピソードは読まなくても大丈夫なやつです。
「僕達の……! 勝ちだ!!!」
短剣をゴブリンの首に突き刺した時、僕の中に何かが流れ込んできた。
頭が割れるように痛い。
何だこれ?
怒り?
悲しみ?
諦念?
そして、映像のようなものが飛び込んできた。
ーーー
ーー何処だ? ここは?
翡翠色に光る水の中だ。
これは……? 水槽の中?
そして外に人影。
カルテのようなものを持ち、忙しなくペンを動かしている。
場面が変わった。
ーーこれ、全部ゴブリンか?
小柄な体躯に薄汚れたような緑の肌。ゴブリンだ。
辺りにはゴブリンがごった返していた。
数は検討もつかない。千、いや、万。下手したらもっといるかも知れない。
また、場面が変わった。
ーー水槽?
円筒状の巨大な水槽だ。よくよく見れば辺りには同じようなものが無数に存在する。
ここは実験場か何かなのだろうか。
どうやら、この記憶の持ち主は水槽を見上げている。
水槽の中にはゴブリンが浮かんでいた。死んではいない。
一定感覚で体が上下している。
そして、水槽のガラスに反射して写る顔も、ゴブリンのそれと同じだった。
ーーー
そう言えば、さっきの走馬灯みたいなものは何だったのだろうか?
よくよく、思い出すと視界の端々に写った手足は黒かったような気がするが……まさかね?
「北原君。その、ぬぼーっとした感じやめなさいよ。グールと勘違いして打ちそうになったわよ」
「えぇ……」
斎藤さんの毒舌は今日も止まることを知らない。剥き出しのナイフと言っても過言ではない。
「あ、そう言えばさ。ゴブリンってどう生まれて、生きると思う?」
「いきなりね。そうね……多少の知性は有りそうだから、普通に集落を作って、そこで繁殖していくんじゃないかしら」
斎藤から妥当な回答が帰ってくる。
まぁ、普通に考えたらそうか。
「だよね。実験用の水槽から生まれるなんでことないよね?」
「寝ぼけているのかしら?」
斎藤にため息を吐かれてしまった。
僕自信も何を言っているのだろうと疑問なくらいだ。
結局、あの走馬灯らしきものは何だったのだろうか。
もし、今度喋れるゴブリンに会うことがあれば聞いてみることにしよう。
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