祝いの品

ツヨシ

第1話

今日は待ちに待った結婚式だ。


式場にはさまざまな祝いの品が届いたが、中に一つ奇妙なものがあった。


差出人不明のユリの鉢植え。


差出人の名前がないことも変だが、メッセージカードがないというのも妙だ。


妻に聞いても心当たりはないと言う。


どちらにしても花には違いがないので受けとることにした。



一年後、結婚記念日の日に再びユリの鉢植えが届けられた。


前回と同じく差出人不明でメッセージもない。


私はふと気になり、ユリの花言葉を調べてみた。


色はオレンジ。


オレンジ色のユリの花言葉は「憎悪」だった。


――誰がこんなものを?


昔の女かと思ったが、女と酷い別れ方をした覚えはまるでない。


妻もやはり身に覚えがないと言う。


そしてオレンジ色のユリの花は、毎年欠かさず結婚記念日に届けられ続けたのだ。


それは私が死ぬまで。



       終

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

祝いの品 ツヨシ @kunkunkonkon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ