第4話
「そういやさ、新村君は部活とか何するかもう決めた?」
午後の授業1発目が終わりペンをくるくる回しながら朝日奈が尋ねてきた。
部活か…… 帰るのも1時間近く掛かるから出来れば入りたくない。 入っている名目さえあればいい部活が好ましい。
「俺は学校まで結構時間掛かるから遅くまで部活動できる余裕ないから帰宅部的なのでいいわ」
「ふぅん、ねぇ! そういえば私新村君どこに住んでるのか知らないんだけど。 私もここの学校から30分以上は掛かるし意外と住んでるところ近かったりして?」
「新庄中の商店街あるのわかる? そこいら辺」
「ああ、知ってる知ってる。 だったら私と同じ方向だったんだね、 来る時間違うのかなぁ? 見掛けても不思議じゃないんだけどなぁー」
そう言い背伸びする朝日奈。 来る時間違うのは当然だろ? わざわざ行く時間とか合わせるか?
上げた両手の片方を俺の肩に置きユサユサと俺を揺する。
「何がしたいんだよ?」
「新村君、私たちなんだか周りから見るととっても仲良しに見えるよね?カップルみたい」
「はぁ?」
「あ! もしかして照れた? 照れた顔も可愛いねぇ。 新村君ってからかい甲斐があるなぁ」
「あんたら本当に仲良いわねぇ」
平井も来て話しかけてきた。
「あ、今ねぇ、新村君が部活どこ入りたいのか聞いてたの」
「へぇ、柚は別に部活とか興味ないから帰宅部でしょ?」
「うーん、わかんないや」
「え?」
「夏美は?」
「あれ?さっきまで居たと思ったけど…… あ、もしかして柚夏美来ちゃうと新村君にベタベタされるから妬いてるのね?」
「そんなことないよ、いつも来るから今日はどうしたんだろ?って思っただけ。ねぇ?新村君」
「なんで俺に振るんだよ?」
そして授業が始まりやっとうるさい連中が静まり返ったので俺はどこの部活に入るか考えた。
ボードゲーム部とかあったな。なんか楽そうだしそこに行くか。まぁ実際は入部するだけで最初しか行かないが……
部活を決めた俺は授業に戻る。 午後になると眠たくなるな、やっぱり。 ふと朝日奈を見ると何やら考えているような顔をする。 いつもちょっかいかけてくるくせに。
俺の視線に気付いたのかハッとして朝日奈はニコッとこちらに笑いかけた。 気付かれたかと思い俺はヒョイと目を逸らした。
そして放課後になり俺はボードゲーム部に入部届けを出して帰ろうとすると背中にドンと衝撃が走った。
「うひゃっ」
「あははッ、うひゃっだって!あはは」
朝日奈だ。カバンを俺にぶつけやがった……
「なんだよ?」
「怖い顔しないー! 怒ってる顔も可愛いけど。 ねぇ、どこ行くの?」
「部活決まったから入部届け出しに行くんだよ」
「へぇ何部?」
「どこでもいいだろ? じゃあな!」
「ちょっとちょっとぉ! 仮にもこの私が構ってあげてるのに何そのそっけない態度」
「俺で遊んでるだけだろ?」
「んー、そうとも言うかな」
えへへと朝日奈はそう言いこちらについてくる。鬱陶しいなぁ、はたから見たら朝日奈に絡まれて羨ましいと思うだろうが毎回からかわれると面倒でしょうがない。
俺は部室に行くまでに朝日奈を巻く事にした。 よし、ここらでダッシュしてやる。
俺は明後日の方向に走り出した。
「あ!ちょっと待ってよぉ!」
朝日奈は一気に小さくなり俺の視界から完全に消えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます