第5話
私が新村君を見掛けたのは同じクラスの隣の席になった時。
え? 何この子、めちゃくちゃ可愛い! 男の子だよね? 制服見ればわかるけどさ。 髪伸ばしたら女の子じゃん!
入学式の時いたっけ? でも入学式は眠くて眠くて早く終われって思ってて周りなんか見てなかったし。
でもこんな可愛い子が私の隣なんてついてる〜! 楽しくなりそうじゃない。
私はさっそく新村君に話しかけた。
「ねぇ」
「…………」
え? シカト?? 私が話しかけてシカトされるなんてあんまりないのでちょっとびっくり。
「ねぇねぇ、話しかけてるんだよぉ?」
「ん? ああ、俺?」
「君しかいないじゃん? 1人でボーッとしちゃって誰も知り合いいないの?」
「知り合いとか仲良い奴この高校にほとんどいないな。 唯一の友達も別のクラスだし」
「ふぅん、だったら私が仲良くしてあげよっか?」
「え?」
そんな事言われると思わなかったのか彼はとても驚いていた。そしてちょっと赤くなってる。 いいねぇ、その顔。
「嫌?」
「嫌ではないけどさ、じゃあとりあえずよろしく。俺は新村 啓」
「私は朝日奈 柚。新村君ね、窓際だから新村君にとって唯一の隣の人だから仲良くしてあげるね」
「いや、別に前も後ろもいるだろ?」
「向き変えるのは面倒でしょ? その点私のとこなら新村君が熱い視線送ってくれればすぐわかっちゃうよ〜?」
「お前って変わった奴だな」
「新村君もとっても可愛い顔してるよ」
「へぇ、そうかな」
可愛いって言われるとあんまり嬉しくなさそう…… でも可愛いものは可愛いし女の子は可愛いのが好きなんだからとてもいい事なのに男の子ってよくわかんないなぁ。
「ねぇねぇ」
「何?えぇと……」
え?もしかしてもう私の名前忘れたの?
新村君にとって私印象に残らないのかな? この私が話しかけてあげたのに!
「朝日奈 柚!」
「あ、そうそう、朝日奈だ!」
「ひっどーい! 私これでも結構モテるのにもう忘れてるなんて!あ、美少年君の余裕かなぁ?」
新村君結構女子の間で可愛いって評判だもんね、そりゃあ人気になるわよね、こんな顔してたら。 でも新村君免疫なさそうだしからかっちゃお!
「余裕も何も俺そんな風に思った事ないから……」
ビンゴ!やっぱウブなタイプだ。
ふひひ、可愛い甲斐ありそうじゃない。
そして何日か過ぎた頃私はトイレから出てきて教室に向かう途中新村君に曲がり角でぶつかった、まぁ新村君からぶつかったんだけど……
その時新村君の唇が私の頬っぺたに触れたのは新村君は気付いてないみたい。 だって凄く切羽詰まった顔してたし。
どうしたんだろう?
とりあえず落ち着かせてあげるか、 と思い新村君の両頬を手で挟み顔を近付けた。 落ち着かせるなんて嘘。
私の方が少しドキッとしたんだから新村君もドキッとさせてあげる。
…………
あれ? あんま効果なし? 嘘!?
「ん〜、新村君間近で見るとやっぱ可愛い〜! 廊下は走っちゃダメよぉ〜?」
的な事を言って後を去った。私って結構可愛いと思うんだけどなぁと思ったがまぁいっか。
そしてなんやかんやで新村君が部活を決めたらしいので面白そうだからついて行こうとしたら逃げられちゃった。
新村君なら何部に入るかな?私は少し考えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます