第3話
高校生になって少し変わったことがある。男子からあまりからかわれなくなった他にもなんだか女子とも仲良くなった気がする。
「新村君って可愛いね」
「本当髪伸ばしたら女の子だよ」
「ねぇねぇ、化粧してみて」
「彼女とかいる?」
など、俺を小中から見てきた女子は俺を見慣れててそんなことなかったのかもしれないが知り合いの少ないこの学校ではその分珍しいのだろう。
俺の机を囲んで女子たちが騒いでいると隣の席の朝日奈も絡んできた。
「だよねぇ、私もさっきぶつかった時女の子かと思っちゃったもん」
「柚もそう思うでしょ?新村君可愛いよねぇ」
そう言って俺の首に腕を絡めて後ろから抱擁してきたのは「坂木 夏美(さかき なつみ)」朝日奈たちと仲がいい女子のグループだ。ショートカットの元気そうな子だ。
「ずるーい! 夏美ばっかり!」
朝日奈が俺の腕に抱きつき胸を押し当ててきた。
なんだこの状況?
今までそんなに積極的に女子にそんなことされた事がない俺は混乱していた。
「柚メロメロじゃん。 もしかしてタイプだったりしてぇ?」
「えー、こんな可愛いかったら抱きしめたくなるじゃん」
まぁ本当に珍しいだけだろうな、しばらくしたら慣れてこいつらも落ち着くだろうと思って無心夢想の境地に俺は自分を誘った。
「いいなぁ、柚は。 新村君の隣で」
「平井 花梨(ひらい かりん)」は眼鏡をクイッと上げ朝日奈に羨ましそうな顔を向けていた。
というかこんなに女子に囲まれていると男子たちのヘイトを買うから程々にして欲しい……
またイジメられるなんてごめんだぞ!?
だって前の席は男子だが俺の周りに朝日奈たちがいるから席を占領状態だ。
これは相当俺にイライラくるだろう。見ろ! 追いやって他の奴らとこっちをチラチラ見ている。
これは男子の中では俺はぼっち確定かもしれんと思い始めた頃ようやく授業が始まり解放された。
またコソコソと朝日奈が喋り出した。
「ふふぅー、やっとこれで新村君解放されたって顔してるよぉ。酷いんだ、こんなに可愛い女子たちからモテモテなのに」
解放されたと思ったらまた朝日奈が絡んできた。
「おいおい、俺の席に集まるのは勘弁して欲しいわ。周りにお前らしか入れなくなるだろ?」
「え?男子たちと一緒がよかった?もしかして新村君ってホモ?」
「なんでそうなるんだよ……」
「なぁんてね、そうじゃなくてよかったぁ。可愛い顔してるからそっち系に行っても不思議じゃないから」
「お前俺をなんだと思ってるんだよ」
そしてあまりに喋っているので先生に注意された。
しかも俺だけ……
そんな俺を見て朝日奈は肩を震わせ笑いを堪えている。
このアマ……
昼休みになり朝日奈たちは仲のいいグループと一緒に昼飯を食べに席を立つ。
そして俺も徹の所へ行こうとすると前の席の「遠藤 涼(えんどう りょう)」に呼び止められた。
「なぁなぁ啓、お前モテモテじゃん!しかも朝日奈からも。羨ましいぜ」
「モテてるのか遊ばれてるのかわかんないけどな」
「俺の席を占領しといてよく言うな」
「あー、それは悪かった。あれ?でも俺が悪いのかそれ?」
「あはは、面白いなお前。一緒に昼飯食おうぜ?」
「いいけど隣のクラスの俺の友達呼んできていいか?」
「おう、全然オッケー」
そして俺たちは結構仲良くなった。前の席でも今まであんま関わらなかったから仲良くなれて素直に嬉しい。
そして昼飯を食べ終え徹が帰っていった。すると朝日奈も戻ってきた。
「さっきの新村君の友達でしょ?こっちで食べるなんて珍しいね」
「そうだけど?」
ていうかよく知ってるなお前。
「それと遠藤君とも仲良くなったんだ?ぼっちにならないで済みそうで良かったね」
ツンツンと俺の脇腹を突いてニヤニヤしながら俺をからかってくる。
「朝日奈、お前の友達俺に紹介してくれむしろお前でもいい!」
いきなり涼が朝日奈に頼み込んでいた。魂胆はそれか、わかりやすい奴だな。
「あー、新村君と仲良くなって私たちに取り入りやすくするなんて悪よのう遠藤君も。 でも嫌いじゃないよそういうの」
「さすが朝日奈!」
何がさすがなんだ!?
「私以外なら飢えてる遠藤君を紹介してあげるねぇ」
そしてガッツポーズを取る遠藤。そしてその遠藤にお礼を言われる俺、不思議な光景だ……
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