第9話

 この世界は。この世界はおそらく異様で異質で、そして狂っている。

 日増しに増える酒量と相まって、俺の精神はボロボロに崩れていた。


「なあ、ライ。俺は、俺はもう駄目かもしれん」

「……心中お察しします」

「だから俺が死んだら。後は…… 任せた」

「はい、ご主人様」


 この世界は。この世界はおそらく異様で異質で、そして狂っている。

 当然ながら、俺自身も狂っている。もはや正気を保つことが困難だ。


「なあ、ライ。お前は立派に生きてくれ」

「…………」


 俺は一般的な警察官に支給される非常に殺傷力の低い銃を口にくわえ、引きがねを引いた。

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