第4話

「こりゃあひどい」

「こんな現場、いくらでもありますよ」


 そこには、ぐちゃぐちゃに潰された人間とぐちゃぐちゃに潰されたロボットが転がっていた。


「ベテラン刑事が弱音ですか? 信じられませんね」

「…………」


 慣れる? これに? 土台無理な話だ。

 日増しに凶悪度が増す犯罪に対応できるのは、一部の、


「僕がもしあなたの上司なら、正論で叱責しっせきしていますよ」


 そう、一部のだけだ。


「さて。では僕は犯人を尋問してきます。現場の監視、よろしく」

「…………」


 部下の不遜極まりない態度に文句のひとつも言えないのには理由がある。こいつはエリート中のエリート。すぐに階級を抜かされることだろう。

 だが、それが怖いわけじゃない。

 もっと根本的な何か。人間として欠落している部分が恐ろしい。


 俺は言われた通り、現場検証を指揮した。

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